1997年ベルリン生まれで、ヘルタ・ベルリンアカデミー出身。15歳で加入以来、順調に成長を遂げ、カテゴリーも昇格を続け、2016年フランクフルト戦でトップチームデビューを果たした。ドイツU21代表も経験したミッテルシュテットは左サイドバックもしくはウイングバックを主戦場として、アップダウンを繰り返す。
今シーズンは19試合に出場し、3得点をアシスト。運動量多く、攻撃にも積極的に参加し、利き足である左足から繰り出すクロスも大きな魅力である。左サイドMFとしても何度か出場しており、左サイドであればユーティリティーに優れた選手と言える。
ロバートソンに見劣りしない実績
サイドバックである以上、強固なディフェンスが最大の強み。タックル技術も高く、インターセプトにも高い能力を有している。1試合平均タックル数2.3回、平均インターセプト数2回はロバートソン(平均タックル1.6回、平均インターセプト1.2回)と比べても見劣りしない。さらには、クリア回数やシュートブロック回数もほぼ同等の数字を残している。
空中線での強みはロバートソンにない能力だろう。試合平均で1.6回空中線で勝利しているミッテルシュテットに対し、ロバートソンは0.6回にしか満たない。身長が2cmしか違わない割には、大きく差がついており、弱点を解消できる可能性がある。
一方で、攻撃面ではロバートソンに全般的に軍配が上がっている。顕著なのが、試合平均のキーパス数とパスの回数。キーパス数1.5回、パス回数67.5回の数字を残すロバートソンに対して、ミッテルシュテットはキーパス数0.8回、パス回数33.6回。チームスタイルも影響している要素もあるが、それでも攻撃面の改善が、加入した暁には必須課題になるだろう。
マルコ・グルイッチの存在
ヘルタ・ベルリンと言えば、ローンでマルコ・グルイッチが活躍しているクラブであり、リバプールファンには少し馴染みがあるクラブかもしれない。チアゴ・アルカンタラ獲得の噂も出ている上で、中盤はララーナの退団を考慮しても頭数は揃っている。つまりは、グルイッチが中盤競争に参戦するのは難しい。本人もヘルタ・ベルリンに残りたいのが本心だろう。
リバプールとしては、グルイッチを交渉に含められる可能性がある。ヘルタ・ベルリンとしては活躍している主力をキープしたい。グルイッチを譲る代わりに、ミッテルシュテットの移籍金をグッと抑え得られる。無論、アカデミー出身選手を安価で手放したくはないはずだが、ヘルタ・ベルリンにとっても悪くない条件のように思える。
クロップの影響力
クロップの場合、同郷否かはあまり関係ない。遡れば、アーセン・ベンゲルがフランス人、ラファ・ベニテスがスペイン人と、同郷の選手を数多く獲得するパターンも多い。クロップに至っては、そのあたりは苦慮していない。ドイツ出身選手で言えば、ロリス・カリウスとジョエル・マティップ。シェルダン・シャキリもドイツ語は堪能だが、獲得に言語は関係ない。
とはいえ、ドイツ語が母語の選手は監督とコミュニケーションは取りやすい。加えて、クロップのキャラクターや監督としての手腕もミッテルシュテットには魅力的に映るだろう。障害になるのは、ロバートソンがいるため、出場機会が限られる点。まさに今が伸び盛りのミッテルシュテットが、プレー時間を憂慮し、移籍に躊躇する可能性は高い。
持ち前の守備的な能力、攻撃面でのポテンシャル、23歳という年齢に加えて割安になるかもしれない移籍金…いろんな側面を含めて、リバプール視点で理想的な補強になり得る。ジェームズ・ミルナーには中盤に専念してもらい、ミッテルシュテットにはロバートソンの良きライバルとして切磋琢磨して欲しい。