純然たるレフトバックはアンディ・ロバートソンのみで、彼への負担が尋常でなかった直近2シーズン。ジェームズ・ミルナーやジョー・ゴメスが代わりを務めた試合もあるが、右利きと左利きでは攻撃のリズムが変わってしまう。若手のアダム・ルイスやヤセル・ラローチがFAカップなどでは先発したものの、能力は見劣りしてしまい、トップチームで使うにはあと数年必要。
今夏はレフトバックに本腰を入れスカウティングを行っているリバプールは、降格したノリッジからジャマール・ルイス獲得を狙っており、事実クラブとの交渉も行っていると報じられたが、ノリッジ・シティは希望金額に満たないオファーを拒否。本人は控えという役割を受け入れ、移籍志願しているようだが、交渉は停滞している。
そんな中急上昇してきたのが、オリンピアコス所属のコスタス・ツィミカス。24歳ギリシャ代表レフバックは2015/16シーズンにトップチーム昇格して以来、なかなか定着できず、2シーズンをローンで過ごした。2018/19シーズンからは不動の左サイドバックとしてポジションを奪取し、昨シーズンは自身初のチャンピオンズリーグ含む46試合に出場し、フル稼働で躍動した。
最大の魅力は攻撃センス。まさにロバートソンのそれと似通っている。もう1人の候補であるジャマール・ルイスは技巧派レフトバックなイメージが強く、ツィミカスはアグレッシブかつスピードを持ってペナルティエリア付近に侵入していける。クロスも大きな特徴で、リバプールのサイドバックに必要な要素を兼ね備えている。
ギリシャ国内の報道によると、クラブ間合意は時間の問題と見られており、近日中に動きがありそうだ。移籍金は1450万ポンド(約20.3億円)付近を予定しており、来週にもメディカルチェックが行われるスケジュールを組んでいるとされる。
アンディ・ロバートソンの純粋なバックアップという意味合いでは、金額含めて良い補強になるだろう。一方で、左サイドでのアクセントという意味合いでは、ロバートソンと違うドリブルのリズムを持つルイスを逃したのは痛い。それでも、スカウティングチームがここまで早く動くということは以前から評価していた証拠であり、プレミアリーグを舞台に活躍してくれるはずだ。