プレミアリーグで問題噴出のVARについて…IFABテクニカル・ディレクターのデイビット・エレレイが『正当性』を主張

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VAR made it fairer and improves player behaviour 試合

プレミアリーグにおいては、何かと話題のVAR…リバプールは訳のわからないオフサイドラインを引かれ、ライバル・エバートン相手に勝利を逃した。他にも手を上げたばかりに、オフサイドになってしまったり、当たったか当たっていないかわからないほどの接触によって、PKを献上するなど…VAR導入とルール改正によって、プレミアリーグは混迷を極めている。

他方で、VARにより何度も救われたチームも存在するなど、審判団の判定基準の差も浮き彫りになっている。テクノロジーでカバー仕切れないオフサイドラインや接触スポーツであるフットボールにおいて、多少の接触は流しても良いのでは?という議論も巻き起こるなど、特にプレミアリーグは改善が急がれている。

かつてプレミアリーグで審判を務め、現在はIFAB(国際サッカー評議会)でテクニカル・ディレクターを歴任するデイビット・エレレイは、VARが試合における公平性を向上させ、選手たちの振る舞いを改善させていると、IFAB年次業務会議後に、自らの考えを明確にした。

「広義に捉えると、VARはフットボールに利益をもたらしている。審判団による、明らかではっきりしたエラーによって、不利益を被る試合はほとんどなくなってきている。」

「審判の死角で行われたピッチ上での暴力についても、見逃される試合もほとんどない。怪我を引き起こす可能性のあるタックルに関しても、審判団によって正しく判定することができている。」

「VAR導入によってペナルティーキックが増えているかどうかについては、興味深いディベートだと思う。私たちはまだ(PKの増加についての)データ分析は出来ていないが、フットボールがより公平になったことは明白である。さらには、試合の流れにも大きなインパクトを与えた。リプレイを確認するためには、必然的に試合を止めなければいけない。」

「他のメリットは、あまり報じられることがないが、ペナルティエリア内でのシミュレーションが劇的に減少している。また選手たちが審判に詰め寄って、罵倒する場面も減ってきている。なぜなら、ペナルティやゴールに関連するシーンはVARによって、再確認されると理解しているからだ。」

デイビット・エレレイの主張通り、個人的にも公平性の担保は改善されていると感じる。不必要な接触や危険なタックルが見逃されることも少なくなり、適切な対処が行われる場面も多いのは事実。一方で、シミュレーションに関しては懐疑的。爪先が当たった程度で倒れ、PKが献上される場面もある。かと思えば、明らかなホールドがVAR確認すらなされないこともしばしば。

リバプールサポーターにとっては、VARで嫌な思いをしているシーズンと言える。先に述べた通り、意味不明な線引きにより、ジョーダン・ヘンダーソンの劇的な勝ち越し点は取り消された。モハメド・サラーのゴールが爪先オフサイドで帳消しになった試合もある。

一番の怒りは、フィルジル・ファンダイクへの危険なタックルに対して、カードも何も提示されなかったことだろう。イングランド代表ジョーダン・ピックフォードの不用意なタックルにより、リバプールはディフェンスリーダーを長期間失った。プレー自体はオフサイドであったが、危険行為として取り締まられるべきシーンであった。

冷静に考えると、これらはすべて審判団…正確にはVAR担当の作為的なエラーだと捉えられる。オフサイドラインを引くのはVAR担当であり、プレミアリーグの場合は担当審判により、微妙に線引きの基準が変わっている。ファンダイクへのタックルも、当日担当したデイビッド・クーテの愚かな判断によるものであり、VAR自体は鮮明にシーンを捉えていた。

もちろん、オフサイドについては、VARの技術に大幅なアップデートが求められる。選手がボールを蹴った瞬間のコマを確実に捉えるのは現時点では難しい。そのため、爪先くらいのわずかな違いは、選ばれるコマによって結果が変わってしまう。

リーグによっては、微妙なオフサイド判定は流されるところもあるようだが、プレミアリーグではVARに頼りきっており、柔軟性に欠ける。来シーズンからは、技術の未熟さを理解して、曖昧なオフサイド判定は撤廃してもらいたい気持ちでいっぱいだ。

ちなみに、デイビッド・クーテはエバートン戦で2度の低能な判定で、リバプールを苦しめた挙句、主審を務めたマンチェスター・ユナイテッド対WBA戦では明らかなファールでのPK判定を覆し、応援するレッドデビルズに勝利をプレゼントするという…滑稽なミスをふたたび犯している。

来季はこうした不公平性に富んだ審判を外し、政治力にも負けない、そして機械に強い主審を準備しなければ、世界最高峰のプレミアリーグの名を汚し続けることになる。また、オフサイドやハンドなどに関するルールの徹底に始まり、倒れるほどではない接触に関しては、ファールにしないなどの対応が必要不可欠。

『フットボール本来の楽しさ』と『VAR導入による公正性の充実』の両立を目指すためにも、現在VARに引っ張られすぎている試合の判定を、見直す機会が来ているのかもしれない。

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