今シーズン、初めての降格クラブが決定した。今期昇格したノリッジ・シティFCだ。シーズン序盤戦はティモ・プッキの好調に引っ張られるようにチームも中位でシーズンを終える可能性を感じさせる出来だった。しかし10月頃からはプッキにも陰りが見え始め、チームとしても低迷。以来、降格圏を抜け出せずに、来シーズンのチャンピオンシップへの挑戦が決まった。
チームとしては降格だが、評価が高い若手選手を抱えるノリッジ。プレミアリーグ含め、ブンデスリーガなどからも関心が伝えられる選手も多く、今夏は争奪戦の様相を呈している。すでに水面下で交渉が始まっているだろうが、プレミアクラブからすると格安での獲得が可能であるため、この機会に獲得を目論むのもうなずける。
リバプールにもとっても魅力的な選手は多い。補強ポイントである移籍濃厚なロブレンの代わり、左サイドバックの控え、ララーナに中盤の控え…まったくもってオススメの選手が目に浮かぶ。現実的ではないが、ノリッジ・シティFCから集中的に補強するのもありかも…
ベン・ゴッドフリー
新契約を提示している報道も見受けられるが、ロブレンとしては出場機会を確保したいのが本音。昨年もASローマへの移籍が迫っていた背景から、今年は移籍をクラブも容認する可能性は高い。フィルジル・ファンダイクを筆頭に、ジョー・ゴメスとジョエル・マティップが控えるセンターバック(CB)の競争は熾烈。ただ、ベン・ゴッドフリーであれば、4番手CBに留まらず、ファンダイクの相棒に躍り出るポテンシャルを感じさせる。
恵まれた高身長と強靭な肉体で、イングランド特有の強さを発揮する一方で、的確なロングボールを前線に送り込めるほどのパスセンスを有した現代的なセンターバック。ボールの扱いにも優れ、経験値以外はロブレンを凌駕していると錯覚するほど。
評価は非常に高く、若手育成に定評のあるドルトムントも獲得を狙っているという報道が出るほど。タイプがファンダイクに近いため、パートナーとしてゴメスが相性が良い。ただ、岩のような2人が最後の砦として立ち塞がるシーンを思い浮かべると、驚異以外の何物でもない。
目標となり得るファンダイク先輩を身近で感じ、将来的にはプレミアリーグを担うセンターバックとして、かつディフェンスリーダーとして活躍する。そんなルートが現実的だろう。
移籍金:1150万ユーロ(約15億円)
マックス・アーロンズ
左右のサイドバックでプレー可能で、試合を通して激しくアップダウンを繰り返す。中盤とのショートパスを基軸に、前線に顔を出してパスを供給する。守備においても献身性を発揮し、粘り強いマーキングで相手を自由にさせない。時には身体を投げ出してシュートブロックする。身長も含めて、日本代表の長友選手にプレースタイルは近しい。
右サイドバックはネコ・ウィリアムズやキ=ヤナ・フーフェルが成長著しく、トップチーム定着が目前に迫っている。とりわけ緊急度が高いポジションではないが、今シーズン公式戦への出場こそなかったがナサニエル・クラインを放出しており、右サイドバックにおける経験値が低下している。
シーズンを通してノリッジ不動の右サイドバックとして君臨し、大きなケガなくシーズンを戦い抜いた経験はウィリアムズやフーフェルにはない貴重な要素。安定的なパフォーマンスを披露していたことからも、トレント・アレクサンダー=アーノルドの控えとして即戦力に数えられる。
サイドを変えるようなロングボールやクロスの精度には不安は残るものの、チームとしての厚みを強化する意味合いで、可能性のある選択肢と言えるだろう。
移籍金:2000万ユーロ(約26億円)
ジャマール・ルイス
アンディ・ロバートソンの控えはここ数年の補強課題。ジェームズ・ミルナーが控えを務めているが、年齢を考えると試合数は減らざるを得ない。ネコ・ウィリアムズの台頭はあるが、左サイドバックとしては心許ない。左サイドの攻撃をスムーズに運ぶためにも、やはり左利きのサイドバックが欲しい。
左サイドでのドリブルを得意とし、ショートパスで相手ディフェンスを掻い潜り、前線へと攻め上がる。囲まれた場面でも右足を使いつつ、相手プレスを突破できる。左足でのクロスも一定のレベルを有しており、攻撃においてはすぐにでも活躍できるポテンシャルを感じる。
ロバートソンと違い、手足の長さも新たなオプションとして面白い。身長は変わらないが、身体的特徴の違いによる動きの差異は、ロバートソンが機能しない場合に有効に使えるだろう。積極的な攻撃参加に躊躇はなく、ロバートソン同様「サイドバックなのになぜそこにいる!」状態を生み出すことができる。
問題は守備。ゲーゲンプレスに適応できるかは未知数であり、守備が少し軽い場面も散見される。守備における対応の仕方は、トレントのそれに近いものを感じざるを得ない。守備強度の向上が間に合えば、クロップ監督のもとでも活躍可能な逸材である。
移籍金:1100万ユーロ(約14億円)
トッド・カントウェル
以前も紹介した中盤にクリエイティビティとエナジーをもたらす若手有望株。独特なリズムのドリブルで相手をきりきり舞いにする。運動量や献身性も持ち合わせ、まさにララーナと近いプレースタイルの選手と言える。
アダム・ララーナの退団。ジェームズ・ミルナー、ジョーダン・ヘンダーソンやジョルジニオ・ワイナルドゥムがキャリアピークに差し掛かり、アレックス・オックスレイド=チェンバレンがなかなかスタメンに定着せず、ナビ・ケイタも100%を発揮しているとは言えない状況。カーティス・ジョーンズが急成長中であるものの、ゲーゲンプレスの要である中盤には厚めの選手層を揃えたい。
今期ブレイクし、シーズンを通して及第点のパフォーマンスを見せるカントウェル。レスターやニューカッスルといったプレミア勢の多くが触手を伸ばしている人気銘柄で、競争は激しい。その分、ポテンシャルは各クラブのスカウトに認められている証。
ポジショニングやゲーゲンプレスへの理解度が高まれば、ワイナルドゥムに取って代わるほどの才能を持っていると思っている。
移籍金:2200万ユーロ(約28.6億円)