プレミアリーグ最終節でマンチェスター・ユナイテッドとの直接対決に敗れ、チャンピオンズリーグ出場権を逃したレスター・シティ。前半戦はリバプールやマンチェスター・シティと争うほどに躍動したが、年末頃から負傷者にも悩まされ、後半戦はなかなか結果に恵まれない。
エースであるジェイミー・ヴァーディが初めての得点王に輝き、将来が嘱望される若手選手を数多く有し、来シーズン以降に期待が持てる布陣を名将ブレンダン・ロジャースが率いる。有望株の1人に数えられるのが、リバプール移籍の噂に揺れるハーヴィー・バーンズだ。
今シーズン、ローン先のウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンから舞い戻った22歳の快速ウインガーは、ロジャース監督のもとでコンスタントに出場機会を得る。スピードを活かしたドリブル突破からチャンスを作り、ヴァーディとともにディフェンスラインの裏を狙い続ける。守備においてもしっかりと戻り、粘り強くディフェンスをすることができる、まさにクロップ好みの選手。
あくまで主観でしかないが、クロップがドルトムントを率いた際に左サイドで活躍したケヴィン・グロスクロイツに近いプレースタイル。疲れ知らずの攻守での貢献ができる頑張り屋さん。クロスやパスセンスは改善の余地ありだが、ファンには愛されるタイプの選手である。
あくまで今シーズンからレギュラーに定着したため、実質的にはプレミアリーグ1年生。全試合を通じて41試合で7ゴール9アシストと躍動したシーズンを来年以降もリピートできるか疑問が残る。しかし、左右問わずウイングでプレー可能で、複数ポジションをこなせるセンスは魅力的。
レスターは格安では譲るわけがない。ブレンダン・ロジャースを召集し、数年かけたチーム作りを目指しており、適正価格以上での移籍しか認めないだろう。同ポジションではアダマ・トラオレにも関心を示していると伝えられるが、ともに法外な移籍金を要求されるはずで、控えウインガーには大枚をはたくことは決してない。
マイケル・エドワーズ(スポーティング・ディレクター)の交渉力を持ってしても、値引き交渉は暗礁に乗り上げる確率が高い。バーンズ本人が断固とした態度でクラブに移籍を志願しない限りは、この交渉がまとまることはない…と思っている。
来シーズンはジェルダン・シャキリやディヴォック・オリギで我慢し、その翌年に多少の移籍金を使って、大物を取るシナリオも面白いのかもしれない。