フィルジル・ファンダイクとのパートナーシップは一級品。スピードあるカバーリングに優れ、足下の技術にも定評がある現代的なセンターバック(CB)であるジョー・ゴメス。30年ぶりのプレミアリーグ制覇に多大な貢献をしたイングランド代表CBは「スタメンの座を取り戻すまでの時間は辛かった」と告白。
2015年にチャールトンから加入した若武者は、加入当初は左サイドバックを担当。クロップ政権下ではトレント・アレクサンダー=アーノルドと併用される形で右サイドバックとして起用されることが多かった。
もともと守備力が評価された選手であり、右サイドバックだと攻撃面の物足りなさが目立つ試合も少なくない。さらにアレクサンダー=アーノルドがブレイクし、右サイドバックに定着。2018/19シーズンから本格的にCBに挑戦し、ファンダイクの相棒として評価を高める。
しかし、怪我によって後半戦はライバルであるジョエル・マティプにポジションを譲る。シーズン終盤に回復したものの、ベンチを温めるか、CBではなく右サイドバックでの起用が続く。
サマーキャンプを挟んでもパフォーマンスは復活せず、2019/20シーズンの前半戦も引き続きマティプが先発の座を射止める。序列でもデヤン・ロブレンに後塵を拝し、一時は移籍の噂まで上がる始末。事実、昨年12月までは1試合しか先発しておらず、我慢が求められた。
それでもマティプとロブレンが怪我で離脱している間に、安定したパフォーマンスを披露し、先発を取り戻した。ふたたび序列4番手になったロブレンが出場機会の少なさから、ロシアに新天地を求めた。
「あの時期はタフだった。フィジカル面は問題ないのに、試合に出られない期間があんなに長く続いた経験がなかった。でも偉業を達成したクラブにいるからこその出来事だった。」
「トレーニングで100%を出し切って、時を待つしかなかった。選手としてはベンチに座って試合を眺める期間は簡単じゃないけどね。残念だけど選手の負傷もあり、出場機会を得た。あの時には必要なことで、プレーしないといけなかった。」
「12月にはすでに良いムードになっていたのは明らかだし、リーグでも調子がよかった。誰も失望させたくなかったし、パフォーマンスレベルを継続することに集中したよ。」
いまや押しも押されぬ、リバプールを代表するCBに成長したゴメス。それでも、まだ、コーチ陣や周りの選手たちから多くのことを学ぶ必要性を理解している。
「自然に改善するべきことを言い合える環境がここにはあって、誰1人として否定として受け取らない。チームにはミルナーやヘンダーソン、ファンダイクらリーダーがいて、他の選手であってもはっきりとよくなかった点を指摘しあえる。」
「正直でいることができ、面と向かってフィードバックできる環境は素敵だね。これが今年の成功において重要な役割を果たしていたし、試合中でも何度も起こった。でもそれが試合に集中し続ける手助けになったよ。」
ロブレンが抜け、新たなCBが加入してくる。キ=ヤナ・フーフェルやセップ・ファン・デン・ベルフも虎視淡々とトップチーム起用を狙っており、熾烈なスタメン争いが予想される来シーズン。頭ひとつ抜け出している印象のゴメスではあるが、少しでも調子を落とすとスタメンを追われるほどの陣容。
次なる野望としては、数年後のディフェンスリーダーになり、世界有数のCBになることだろう。完璧なロールモデルが相棒を務めているだけに、練習と試合で直に能力に触れ、リバプールレジェンドになってくれるとサポーターは期待してやまない。