デヤン・ロブレンがチームを退団し、ディフェンスリーダーのフィルジル・ファンダイクと貴重なバックアッパーのジョエル・マティプがともに29歳と選手としてピークを迎えている。ジョー・ゴメスが23歳で未来のディフェンスリーダー候補筆頭で、キ=ヤナ・フーフェルなど期待の若手が控える。その中でも注目株がフランスU18代表DFビリー・クメティオだ。
2018年にオルレアンからリバプールへと加入したクメティオは、今年8月に自身初めてとなるプロ契約を締結。プレシーズンキャンプにも参加し、急激に注目を集める存在になった。クロップ監督もポテンシャルには驚嘆しており、オーストリアで行われたプレシーズンマッチにも途中出場。期待値レベルは最高級品といって過言ないだろう。
基本情報
名前:ビリー・クメティオ(Billy Koumetio)
誕生日:2001年10月19日
出身:フランス リヨン
ポジション:センターバック
経歴:オリンピック・リヨン → オルレアン → リバプール
体躯に恵まれたフィジカルモンスター
17歳にして1m95cmの高身長。アフリカをルーツに持つ選手独特の身体能力を有し、対人守備や競り合いには強さを感じれる。コーナーキックなどではファンダイクのようにターゲットになれる人材で、驚異的なジャンプ力で頭ひとつ抜け出る。今後筋肉量が増量すれば、フィジカル面では敵なしになる可能性は大きい。
プレシーズンで垣間見えた弱点は、スピード。裏に抜け出されて、容易に引き剥がされる場面が多々ありピンチを招いた。高いディフェンスラインを維持するリバプールにとっては、致命傷になりかねない。
ジョー・ゴメスが異常なスピードで、幅広くピッチをカバーできるといえども、それだけではほろこびが出てくる。かつてディフェンスリーダーとして君臨したサミ・ヒーピアが良いお手本になるはずだ。元フィンランド代表DFもスピードには乏しく、ポジショニングや読みで自らの弱点を補填していた。経験が物を言う要因も多いが、学びでも多くを補えるであろう。
さらにチームメイトには世界最高のセンターバックがいる。オランダ代表DFがどのようにポジションを取り、裏に抜け出された時の対応などを間近に見聞きできる。非常にクレバーな印象もあるため、キャッチアップもそこまで時間はかからないと思っている。もちろん、実際の試合で発揮できるようになるまでは時間がかかる可能性も否めない。
左右の足からの正確な長短のパス
もう一つの特徴は左利きでありながらも、両方の足が使え、正確なパスを出せること。ボールを回すための短いパスから、前線の選手が飛び出すタイミングで供給する長距離のパスと、距離に関わらず質の高いパスを絶えず送り続けられる。強靭なフィジカルだけではない、まさに現代的なディフェンダーとして必要な要素を兼ね備えている。
昨シーズンから多用しているファンダイクからのロングフィードによるチャンスメイクをそのまま引き継げる。ピッチを俯瞰で把握することができ、空いている選手を瞬時に判断する能力も高いように思える。動き出しを感知して、モハメド・サラーやサディオ・マネの裏への抜け出しに合わせられるようになれば、一人前。
ただプレッシャーをかけてくる相手の動きへの予測に乏しく、ボールコントールが少しずれた場面でボールを掻っ攫われるシーンが散見される。スピードがない分、リカバリーも遅いため、相手との間合いの見極めや予測力を高めることが成長の鍵になるだろう。無駄なボールタッチもまだ多い印象があり、プレッシャーの中でのワンタッチパスなどが常時できれば、出場機会も増えるかもしれない。
ポテンシャルの高さはお墨付きで、センターバックの枚数が足りていない現状ではゴメスやマティプあたりが負傷した際には代役を務める可能性もある。とはいえ、まずはカップ戦を中心に試合経験を積む必要がある。そこで実力を発揮し、トップチームでも通用することを示していきたい。