2011年アンディ・キャロルとともにリバプール加入したウルグアイ代表FWルイス・スアレス。チェルシーDFブラニスラフ・イバノビッチへの噛みつき事件やマンチェスター・ユナイテッドDFパトリス・エブラへの差別的発言疑惑など問題行動を起こす一方で、ストライカーとして圧倒的なパフォーマンスを披露し、フェルナンド・トーレスに代わるエースとして君臨。
2014年夏にバルセロナに移籍することになったが、在籍した2年半で133試合82ゴール47アシストと驚異的な数字を残した。。単独でのドリブル突破からの得点以外にも、前線で溜めを作れ、ディフェンダーを背負ってのボール保持もなんのその。そこからスティーブン・ジェラードなどにパスを出し、攻撃を組み立てる役割も担っていた。
スペインに拠点を移して以降も、ゴールに、アシストにと躍動。パートナー探しにも苦労していたリオネル・メッシと見事に共存。メッシとはプライベートでも親交が深かった。 それまではパス回しで圧倒的なボール支配率で試合をコントロールしていたバルセロナから、縦にスピードを持って攻撃を仕掛ける新生バルセロナへの変貌に一役を買った。
ウサマン・デンベレやフィリペ・コウチーニョなど大金で獲得した新戦力がフィットせず、戦力がなかなか向上しない中、古参の選手たちの活躍でなんとかチームを維持していた。しかし、チャンピオンズリーグでは2シーズン連続で大逆転負け。バイエルン・ミュンヘンに大敗を喫した今年、さらに主力組が30歳に差し掛かるタイミングで、若返りが求められた。
注目を集めたリオネル・メッシが残留を決める一方で、イバン・ラキティッチやアルトゥーロ・ビダルが退団を迫られ、ルイス・スアレスも例外ではなかった。新監督ロナルド・クーマンから構想外を伝えられたウルグアイ代表FWは、一時ユベントス移籍に近づいていたものの、最終的にはアトレティコ・マドリードへと完全移籍を果たしている。
この移籍に関して、バルセロナの扱いの酷さに、長年活躍したルイス・スアレスは悲しみを吐露している。33歳になったスアレスはトップチームとの練習参加を拒否され、移籍を強要されていた。
「その期間はとても難しいものだった。強制的に退団しなければいけない事実に涙したよ。彼ら(バルセロナ)がやったこと全てにガッカリした。」
「クラブがサイクルの終わりを感じて、良い方向に持っていくために僕の移籍先を探しているということは全く伝えられていなかった。」
「誰にも何が起こっているか知らなかった。一番最悪だったのは、トーレニングに行ったときに、遠プチームとは別のグループに振り分けられ、練習試合にすら参加を許してもらえなったことだね。」
「妻は僕がどれだけ不満を抱えているか察して、彼女は笑顔を取り戻してほしいと願っていた。だからこそ、アトレティコ・マドリードに加入できるチャンスに飛びついたよ。」
長年ともに戦い、バルセロナを支え続け、ピッチ内外で相性の良さを見せていた親友リオネル・メッシは自身のSNSでルイス・スアレスに対してメッセージを送った。
「メッシが公の場でサポートを表明してくれたのは驚きでもなんでもなかった。彼をよく知っているからね。彼も僕が置かれた状況を理解していたし、強引に退団に追い込まれて傷ついた感情も分かっていたんだ。」
「彼ら(バルセロナ)の行為は正しくはなかったし、メッシは僕と僕の家族の苦悩を理解していた。」
新たなキャリアを迎えるルイス・スアレスは、すでに3試合2ゴールと早々と実力を発揮している。ベテランの域に差し掛かったFWは、まだまだやれるところを証明してみせている。今後の注目ポイントは、アトレティコ・アドリードがカンプ・ノウに乗り込む試合。来年5月9日(日本時間)に予定されており、この試合はスアレスにとって感情的な一戦になることは間違いない。