センターバックが危機的状況に陥っているリバプール。勝負強さを発揮して、プレミアリーグで首位をキープしているものの、失点数が嵩んでいる。昨シーズン、プレミアリーグでのコロナ再開後から軽い守備からゴールを奪われるシーンも多く、フィルジル・ファンダイクが負傷する前から問題視されていた。そこに追加して、ディフェンスリーダーの不在である。
兼ねてからスカウティングが行われていたベン・ホワイトやダヨ・ウパメカノといった若い有望株の名前が継続的にニュースを賑わす中、新たなセンターバック候補の名前が浮かび上がってきた。ファンダイク同様、オランダ出身CBペール・スフールス。チャンピオンズリーグのグループステージで同じ組に属するアヤックス期待の若手選手である。
オランダU-21代表でもキャップを積み重ねる未来の大器は、マタイス・デ・リフトがユベントスへと移籍したシーズンに少しずつ試合出場を得るようになる。同じくCBジョエル・フェルトマンがプレミアリーグに新天地を求めた今シーズンから、正センターバックとしてバックラインを支えている。自身はフォルトゥナ・シッタートのアカデミー出身で、17/18シーズンにアヤックスに引き抜かれた。
リバプールとペール・スフールスの関係は、今回が初めてではない。フォルトゥナ・シッタートに所属していた時代に、獲得するかを判断するためにトライアルに招待していたようだ。その後は、アヤックスがオランダU-21代表DFとの契約を勝ち取った。同選手の父親によると、ユベントスも獲得レースに参加していたらしく、そのポテンシャルの高さが窺い知れる。
高い身長に、高いボールコントロール技術。現代的センターバックに求められる要素を兼ね備えたDFで、長短のパスも問題なく行える。オランダのフル代表にも召集こそされているが、デビューまでは至っていない。リバプールをホームに迎えたチャンピオンズリーグ初戦での好パフォーマンスがユルゲン・クロップ監督の目にも留まった。
現実的にオファーが検討されている段階ではない。それでも、高額な移籍金もしくは複数クラブによる争奪戦が予想されるホワイトやウパメカノと異なり、比較的安価での獲得ができるの魅力的。ジョエル・マティプやファビーニョも軽傷であることを考慮すると、大金を費やすのはもったいないという考えになっても、なんらおかしなことではない。
フィルジル・ファンダイクの代わりにはなり得ないが、ディフェンダーの枚数確保には打ってつけの人材。ジョー・ゴメスやマティプを追い越す可能性すら感じる能力の高さは、リバプールの守備陣をより強固なものにしてくれるだろう。
ナサニエル・フィリップスやリース・ウィリアムズの存在が、移籍市場での活動を取りやめるかもしれない。両選手ともプレミアリーグやチャンピオンズリーグに出場し、印象的なパフォーマンスを披露している。今回のタイミングでファンダイクの純然たる代わりが獲得できないのであれば、今季は現有戦力での戦いを受け入れる…そんなこともあり得なくはない。