ジョエル・マティプがふたたび負傷したリバプールは、センターバック獲得に向けて水面下で交渉を続けている…と思われる。守備陣のリーダーであるフィルジル・ファンダイクを早々に欠き、ジョー・ゴメスも代表での練習中に負傷してしまい、両者とも早くてもシーズン最終盤まで復帰は難しい。
数多くのセンターバックの名前が飛び交う中で、ファンダイクとはオランダ代表でともに戦うステファン・デ・フライがリバプール移籍を拒否した模様。獲得候補としては頻繁に報道されている選手ではないが、緊急事態に陥る前にも何度かリバプールの関心が伝えられてきた。
フェイエノールト下部組織出身で、2014年にセリエA・ラツィオへと移籍すると、イタリアの地でも主力に定着。2018年にはさらなるステップアップを求めて、新天地インテル・ミラノへ完全移籍。昨シーズンは絶対的王者ユベントスをあと一歩まで追い詰めたチームで、守備の要として活躍し、アントニオ・コンテ率いるチームには欠かせない存在として君臨している。
現代的なセンターバックのデ・フライは、激しいプレッシャーに晒されても、ボールをしっかりとコントロールし、的確なパスを供給できる。走力には乏しいものの、体を張った守備でシュートブロックを厭わず、ごつい体躯ではないが対人守備でも負けないだけのフィジカルを有する。
オランダ代表でも38試合に出場。ファンダイクやユベントス所属CBマタイス・デ・リフトがおり、スタメンでの出場は限られるものの、心強いバックアッパーとしてベンチに控える。カテナチオの国で鍛え上げたディフェンスをオレンジ軍団にも持ち込んでいる。
インテル・ミラノでは今シーズンも主力として活躍しており、9試合に出場している。昨年ほど順位が上がらないものの、順風満帆なイタリア生活を満喫している。元ラツィオCBも生活に満足しており、移籍を考えていないらしく、獲得に動くにもクラブとの交渉後に、本人とのタフな交渉が待ち受けている。
他の候補に比べると、移籍金や年齢を総合的に判断しても獲得リストに載っているとは考えにくい。プレミアリーグでの経験もなく、即戦力を求めるクラブにとって、適応までの待つ余裕はない。試合スピードがゆったりしているイタリアよりは、同じプレミアリーグやブンデスリーガからの獲得が得策だろう。
また、延期されたユーロ2020開催が迫るタイミングでの移籍で、代表から脱落する危険性もはらんでおり、ますます可能性は低いと言わざるを得ない。
いずれにしても、センターバック獲得は急務であることに変わりない。そして、ユルゲン。クロップ監督やマイケル・エドワーズ(スポーツ・ディレクター)、経営陣との間ではどのような話し合いがなされているのか気になる毎日だが、必ず適切な選手を補強してくれると信じ、サポーターは待つしかない…