2021年6月末で契約切れとなるオランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥム。契約延長問題が継続して話題に上っており、ボスマンプレーヤー(クラブ間合意なしで、個人間交渉が可能)になるまで残り1週間を切ってしまった。夏にユルゲン・クロップ監督と話し合いの場を設けて以来、あまり進展は見られなかった。
期限が迫る最中、ワイナルドゥム側が求める待遇が明るみになってきた。今年30歳のオランダ代表MFは、長期的な契約と給与の増加を要求している。給与については、若干のアップではなく、プレミアリーグでもトップクラスの中盤選手と同等の金額を希望しているようで、延長には大幅な給与アップが必須となる。
2016年ニューカッスルから加入して以来、ユルゲン・クロップ監督が求めるサッカーに見事にフィットし、チームに欠かせない選手としての地位を確立。2年前のチャンピオンズリーグ・バルセロナ戦では記憶に残る2ゴールを決めるなど、攻撃に、守備にと奔走している。
とくに直近2シーズンは際立ったプレーを披露しており、中盤のダイナモとしてチャンピオンズリーグ制覇に加え、30年ぶりのプレミアリーグ優勝に大きく貢献した。無尽蔵なスタミナでピッチを駆け回り、目立たないがチームの屋台骨を支える。テクニックにも優れ、簡単にボールを奪われず、身長こそないが、デュエルでも負けない強靭な肉体を持つ。
オランダ代表では、トップ下の役割を担い、ヨーロッパの強豪相手にバンバンと得点を決めており、近年好調なオランダ代表を引っ張る存在。中盤であれば、守備的、攻撃的問わず高いレベルでのパフォーマンスを維持でき、負傷も少ない貴重な選手であり、計算も立ちやすい。
今シーズンは負傷者が続出するチーム事情において、数多くの試合に出場しており、フル稼働中。安定したプレーぶりで、毎試合で期待に応える。チーム内では1位2位を争う出場試合数を数え、すでに21試合(全コンペティション含む)に出ており、休みなく働き詰めている。その貢献度たるや、今や押しも押されぬプレミアリーグ屈指のミッドフィルダーに成長した。
過去の貢献だけに着目すれば、長期契約や給与アップは問題ないように思える。リバプールやユルゲン・クロップ監督も契約延長を望んでおり、気持ちだけは合意に達していそうだ。しかし、契約内容は簡単にはまとまらない。最大のネックは、30歳という年齢である。
今後3〜4年くらいは問題なく活躍してくれそうな元ニューカッスルMFだが、クラブにとってはリスクでしかない。加えて、爆上がりさせないといけない給与額を考えると、さらに慎重にならざるを得ない。クラブは将来を考えなけねばならず、過去の実績だけに固執できない。
ただ、純然なファンの気持ちでは、長期契約+契約の改善は受け入れて欲しい。モハメド・サラーやサディオ・マネ、フィルジル・ファンダイク、アリソン・ベッカーら高給の選手たちが活躍できるのは、汗かき役がいるからであり、誰もが理解しているはず。数字が残せないため、評価されにくいが、こうした選手こそしっかりと評価されて欲しい。
まだ退団が決まったわけではなく、あくまで他のクラブとの交渉が自由にできるようになるだけ。インテル・ミランやバルセロナなどヨーロッパの強豪クラブが興味を示しているらしいが、リバプールも交渉を継続することはできる。
30歳を迎える選手にはありきたりな長期契約問題。ワイナルドゥムの場合、そこにトップレベルの給与の要求が重なり、複雑化している印象ではあるが、なんとか落とし所を見つけ、来季もリバプールの一員として新シーズンを迎えることを祈るしかない…