30歳になったオランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥムの契約は来年6月末まで。新年になると、クラブ間合意なしで各クラブと移籍交渉が行える。リバプールとの契約がまとまらなければ、フリー移籍となり、財政的に大きなダメージを被ることになる。近年ではアダム・ララーナ(→ブライトン)やエムレ・チャン(→ユベントス)がそれぞれフリーエージェントで移籍している。
一昨年のチャンピオンズリーグ制覇に加え、30年ぶりのプレミアリーグ優勝に多大な貢献をしたワイナルドゥムに対して、リバプールは粘り強く交渉し続けている。今夏にはユルゲン・クロップ監督とも会談を設け、良好な関係性を維持している。今シーズンもリーグ戦は全試合に出場しており、負傷者が続出するチームにおいて、いぶし銀の活躍を見せている。
給与の増額にプラスして、複数年契約を求めているとされるオランダ代表に対し、クラブはすでに新契約を提示している模様。ワイナルドゥムは自身の将来を熟考しており、他のクラブと交渉を開始する前までに決断する旨を伝えたそうで、報道によれば今週いっぱいが締切期日となっている。
リバプールとユルゲン・クロップ監督は残留を心底望んでいる。ニューカッスルから加入してからの活躍ぶりは言わずもがな。目立ちにくいが、破壊的なフロントスリーや超攻撃的両サイドバックが、あそこまで得点に絡めるのは、うまくポジションを埋めるワイナルドゥムの存在があってこそ。チアゴ・アルカンタラを獲得した後も、その重要性が薄れることはない。
今年の夏はバルセロナ移籍が大きく報道された。新監督に就任したロナルド・クーマンとはオランダ代表で旧知の仲であり、同じくオランダ代表FWメンフィス・デパイとの獲得を熱望している。リオネル・メッシらの退団騒動や新型コロナのパンデミックによる財政難により、獲得が見送られたが、クーマン監督は獲得を諦めていない。
フリーで獲得できる可能性のある元ニューカッスルMFは、格好の的。財政的にも移籍金なしでの獲得は理想的であり、2021年1月から攻勢を仕掛けるだろう。ただ、バルセロナの会長問題が獲得交渉にブレーキをかける。時を同じく、来年1月に開催予定の会長選挙で新会長が就任する見込みで、クラブ方針が変更になることも考えうる。成績が奮わないクーマン監督の解任も十分あり得る。
(※ジョゼップ・マリア・バルトメウ元会長は、2020年10月27日に会長の座を辞任している。)
クラブの英雄シャビの監督就任が噂される中、高い給与水準を求めるであろうワイナルドゥムの獲得に新会長が躊躇する可能性もある。それ以前に、不良債権となってしまったフィリペ・コウチーニョや怪我ばかりするウサマン・デンベレらの処遇にもメスを入れなければならず、補強プランの前にやるべきことが多く溜まっている。
もしクーマン監督が退任した場合には、バルセロナの興味は冷めるはずであり、バルセロナとしては新会長が決まるまでは動けない。さらには、今季ブレークを果たしたMFペドリや若手MFフレンキー・デ・ヨングががっちりと出番を確保しており、30歳MFへと目を向けている理由も、個人的には疑問が残る。
フリー移籍の常習犯ユベントスなどの関心も伝わっており、契約延長問題はいよいよ佳境を迎えそうであり、少なくとも1月中までには結論が発表されそうである。ワイナルドゥムがどのような選択をするにせよ、これまでの貢献はリスペクトされるべきであり、キャリアの転換期となる30歳での選択を尊重したい!