開幕以来、首位の座を維持していたレアル・ソシエダを抜き去り、現時点でラ・リーガで1位に付けるアトレティコ・マドリード。バルセロナからウルグアイ代表FWルイス・スアレスが加わり、ジョアン・フェリックスが復調した今シーズンは、元々のディフェンスの強固さと相まって、強さを見せつけている。
リバプールにとっては、苦い思い出が残るチームでもある。新型コロナ感染がパンデミックを引き起こす直前に開催されたチャンピオズリーグ・ラウンド16…ホームにアトレティコ・マドリードを迎え、ジョルジニオ・ワイナルドゥムのゴールで2戦合計で同点となったリバプールは、試合は延長戦に突入し、94分にロベルト・フィルミーノの得点で勝ち越しに成功。
しかし、ドラマはその後に待ち受けていた。要塞と化しているアンフィールドで、2戦合計で1点リードしたため、あとは守り切ってくれると信じたサポーターは半ば安堵していた。それでも、負傷中のアリソンに代わり先発したアドリアンがパスミスから、同点弾を許す。アウェイゴールの関係で得点を奪わなければいけなくなった前掛かりなリバプールの隙を付き、さらに追加点を決められ、試合終了。苦い敗退の記憶である。
ディエゴ・シメオネ監督のもと着実に成長してきたアトレティコ・マドリードが、リバプールで序列が下がっているFWディボク・オリギ獲得を検討している。カップ戦や消化試合のような扱いの試合でしか起用されず、今夏に迫ったユーロ2020で最終局面でベルギー代表に滑り込むためにも、出番を得られるクラブへの移籍を考えていても不思議ではない。
最近では、アトレティコ・マドリードはディエゴ・コスタとの契約を解消している。クラブと選手間で合意に至った結果であるが、闘士を前面に出して戦えるFWの放出は痛手であり、単純に前線の枚数という意味でも不安が残る中、ベンチに座り続けることが多いオリギを獲得リストに加えた模様。
身長も高く、センターフォワードでボールを収めることもできる。プレミアリーグほど激しいディフェンスではない現実を踏まえると、よりボールを保持できる可能性は高い。また、左サイドに流れて、長い手足を生かした独特なリズムでのドリブルからのシュートも持ち味。アトレティコでも一定の貢献はできる実力を持っている。
インテル・ミラノやウルヴァーハンプトン・ワンダラーズなど移籍先として候補クラブは続々と報じられており、各クラブがどこまで熱心かはわかりかねる。それでも、センターバック補強のための資金集めのため、リバプールにとっては売却は適当な選択であり、本人にとっても試合に出れない日々を過ごすのは精神的にも、肉体的にもよろしくなく、移籍には前向きだろう。
残るは、財政難に陥っているクラブはが多い中、激安とは言えない元ベルギー代表FWの移籍金を捻出できるクラブが出てくるのだろうか?適正価格で売りたいリバプールと、できるだけ安く買いたいクラブとの交渉が始まる…すでに始まっているかも….