ディフェンスリーダーであるフィルジル・ファンダイクとイングランド代表ジョー・ゴメスを長期離脱で欠き、ジョエル・マティプも復帰しては負傷を繰り返すリバプール。ファビーニョのフル稼働や若手の台頭によって、首位を維持している。だが、危ないプレーを見せる場面も目立つ若手に頼りきるのは難しく、今冬のセンターバック獲得が必須になるはずであった。
敗れたサウサンプトン戦では、ジョーダン・ヘンダーソンがセンターバックを務め、中盤の2選手が最終ラインに下がらなければいけない状況に陥っており、得点が取れていない前線に加えて、悩ましく、苦しい台所事情だ。
元リバプールで、クラブではレジェンド的存在であるDFジェイミー・キャラガーは、連覇のためのセンターバック獲得の必要を訴えていた。しかし、チームを率いるユルゲン・クロップ監督は新型コロナのパンデミックによる財政状況の不安定さが、移籍市場での動きを消極的にならざるを得ない内情を吐露している。
「絶対に誰も獲得しないとまでは言い切れないが、世界の状況を鑑みても可能性は低いだろう。」
「状況が厳しいという事実を忘れるべきではない。すべての人々にとっても、フットボールクラブにとってもね。」
「財政的に悪化していないクラブもいくつかあるかもしれないが、このクラブは財政面にも責任感を持って取り組んでいる。」
「仮に世界が通常通りで、クラブも問題なく経営が行えている状況において、センターバックを本業とする3選手が離脱し、ファビーニョやケイタあたりも負傷していた場合は、もちろん補強に動くだろう。」
「でも、現状は全く異なる。私にも何かが起こるかどうかは分からないんだ。」
「もしかすれば、何かできるかも。それでも、短期的な考えではいけない。正しい判断ではないし、全く助けにならない。」
「私たちは現実と向き合わなければいけない。ここまではうまく対処してきた。地球全体が芳しくないのに、フットボールクラブだけが例外なわけがないんだ。」
フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)がリバプールを買収して以来、的確な補強でチームを強化してきた。ユルゲン・クロップ監督の召集やマイケル・エドワーズのスポーティング・ディレクターによって、補強にまつわる知見や判断を強化し続けてきた。
とくにクロップ監督就任後の補強は見事の一言に尽きる。ロリス・カリウスなど一部適応できなかった選手もいるが、ほとんどの選手が適切な活躍を見せている。ラファ・ベニテスやブレンダン・ロジャーズ時代とは違い、移籍委員会がその役割を見事に果たしている。
スカウティングチームが世界各国で目を光らせ、リバプールに適応し、さらなる栄光へと導く選手を探している活動している中、センターバックの枚数だけを確保するために動きたくない気持ちは痛いほどわかる。
さらにはパンデミックの影響やシーズン途中でもあり、各チームが主力選手の放出を避けたい状況である。財務的に瀕死のクラブもないことはないが、移籍委員会が求める基準を満たし、移籍金も適切な選手はほぼいないだろう…
難しすぎる状況のため、今冬の補強見送りも見えてきた。サプライズ発表もあり得るかもしれないが、今夏に噂されるダヨ・ウパメカノやベン・ホワイトらを補強するのが現実路線。下位に沈むブライトンだけに、降格ともなれば、リバプールは猛プッシュをかけるに違いない。