2017年初旬までプレミアリーグで審判を務めたマーク・クラッテンバーグ。同年2月16日には、元審判員のハワード・ウェブ氏の後任として、サウジアラビアサッカー連盟へ活躍の場を移し、審判団のレベル向上などを担当していた。2016年世界最優秀主審賞を受賞するなど輝かしい経歴を持つ一方で、人種差別発言疑惑など問題を巻き起こすことも。
近年ではマンチェスター・ユナイテッドが他のクラブを圧倒するPKを獲得しており、疑惑の判定が叫ばれるプレミアリーグ。フランク・ランパードら監督が揃って苦言を呈す中、サウサンプトン戦で明らかなハンドボールにも、サディオ・マネへの接触でもPKを与えられなったユルゲン・クロップ監督は、レッド・デビルズと自身のPK数を引き合いに出し、審判団を痛烈に批判していた。
このクロップ監督の発言に対して意見を求められたマーク・クラッテンバーグは、彼の対応を批判しながらも、アレックス・ファーガソン監督が在籍していた頃には、マンチェスター・ユナイテッドに有利な判定がなされていた事実を認めた。
「マンチェスター・ユナイテッドに対して有利な判定がなされているのでは?と主張するのは間違いだった。」
「アレックス・ファーガソンがいたころは、確かに(有利な判定は)存在していた。だけど、退任とともに影響力は薄れていった。」
「私は、オールド・トラフォードで3度も対戦相手にPKを与えた唯一の審判だ。その対戦相手がリバプールで、2014年の出来事だった。」
「でも、その時にはデイビッド・モイーズが監督になっていた。もしファーガソンが監督のままだったら、どうなっていたかは分からない。」
審判団へのアレックス・ファーガソン元監督の影響力の大きさを明言したクラッテンバーグ。一方で、退任後の審判団への影響については、真っ向から否定こそしていないが、存在していないのではないかと自身の考えを述べている。続けて、今シーズンも多くなっているマンチェスター・ユナイテッドに与えられたPKにも言及している。
「少なくとも5つのPKについては、コンタクトを誘っている…もっと言えば、ユナイテッドの選手が当りに行っているものがある。」
「彼らは、いろんな意味で、賢いのかもしれない。コンタクトがあれば、ペナルティーが与えられ、VARによって覆ることもほとんどない。」
「ペナルティエリア内で、審判団のあいだでは”デッド・ゾーン”と呼ばれている…得点を決められるチャンスがほぼないポジションで多くの選手が倒れていることも留意しないといけない。」
世界最優秀主審にも輝いた審判の目にも、微妙な判定がいくらか存在していることを発言しており、これ以上の言及はないが、判定自体への疑念は持っているように聞こえる。オーレ・グンナー・スールシャールがかつてのアレックス・ファーガソンほどの圧力を審判に与えているというよりも、ただただ運が良いだけなのかもしれない。
いまだにイングランド・フットボール界で大きすぎる発言力を持つファーガソンだけに、裏では何かが行われていても不思議ではないが、真相が明らかになることはまずないだろう。
昨年のロックダウン以降でマンチェスター・ユナイテッドが18回ものPKを得ている一方で、リバプールはわずか6回という事実を勘ぐれば、裏工作が行われているのではないかと疑る選手やサポーター、監督がいても何も不思議ではない。
戦術や選手の特徴、運…以外にも隠された”何か”が存在しているのだろうか?