フロントスリーの驚異的な破壊力に陰りが見え始めている。エジプト代表モハメド・サラーが得点ランキングで上位に食い込んでいるが、例年のような小気味良いドリブルで狭いエリアに入り込めず、ボールロストも目立つ。ロベルト・フィルミーノはパフォーマンス自体は安定しているものの、ゴールの少なさを揶揄され続ける。
最も深刻に映るのが、サディオ・マネ。ライバルであるサラーが17得点決めている一方、リーグ戦7ゴールしか奪えていない。PKを任されるサラーとの違いは仕方ないが、それでも同等のゴール数を望まれる選手だ。コロナ感染の影響か、パンデミックによる心理的ストレスか、過密日程による披露か…様々な複合的な要因により、動きが鈍いのは素人目に明らかであり、シュート場面でもキレに欠ける。
バックアップ陣の筆頭ディオゴ・ジョッタが目覚ましい活躍を見せ、フロントスリーがローテションできると思われた矢先に負傷離脱。残されてたディボク・オリギ、シェルダン・シャキリ、南野拓実と全員が期待を裏切るパフォーマンスしかできず、前線3選手にのしかかる負担は増すばかり。休ませたくても、休ませられない日々が続いている。
ローン移籍で開花しているハーヴェイ・エリオットが来シーズンはアンフィールドに戻ってくるため、バックアップ枠の1枚は埋まる。ジョッタも今月ないし来月には復帰予定。残る枠には、ワトフォードの快速ウインガーであるイスマイラ・サールが大本命に思われたが、セビージャFWルーカス・オカンポスにも熱視線を送っているようだ。
2019年にマルセイユから完全移籍で加入したオカンポス。以来、主力として活躍を見せ続け、今シーズンは21試合4得点4シアストを記録している。サールに比べると、点取屋の印象は薄くなるが、昨年はリーグ戦で14ゴールを奪っており、スコアラーに目覚めるポテンシャルを残している。
直近4試合で2得点と深刻な得点力不足に悩むリバプール。フロントスリーも全員がまもなく30歳を迎えるタイミングでもあり、アタッカー陣の刷新も検討される。シュートテクニックやドリブル、足元の技術など攻撃的なスキルに着目されがちだが、守備にも奔走できる点は評価が高い。
問題は5600万ポンド(約78.4億円)とも言われる契約解除金。報道によれば、解除金額を支払えれば移籍は可能だが、新型コロナで財政的に打撃を受けるクラブにとっては高すぎる。例え、オリギやシャキリ、南野全員を放出したとしても、まかなえるかは怪しい。ジョッタやチアゴ・アルカンタラへの支払いも残る中で、大金を費やすかは疑問符がつく。
状況が状況だけに、値下げ交渉も行われるだろうが、劇的な減額は期待できない。では、安くない支払いを、26歳の選手に行うべきか…個人的には別の選手が適任だと思う。まして、得点能力で苦悩しているため、得点能力に長けたストライカータイプのプレーヤーに専念すべきだろう。
夢物語では、キリアン・エムバペやアーリング・ブラウト・ハーランドら20代前半で、チームをガラッと変えられる可能性を秘める選手へ投資すべきである。その代償として、モハメド・サラーを失ったとしてもだ。むしろ、サラーかマネの放出なしでは、金額的に獲得が困難な選手たち。フロントスリーの立場を即座に危うくする存在が求められる…