ベン・デイビスとオザン・カバクが加入して幕を閉じた冬の移籍市場。ジョエル・マティプが負傷で今季絶望となり、それまで静観していたリバプールを動かすキッカケとなった。ベン・デイビスはいまだにデビューはお預けだが、オザン・カバクはリーグ戦とチャンピオンズリーグ戦と2戦連続出場しており、一定の評価を得ている。
ただ、カバクはローン移籍であり、リバプールが買取オプションを行使しない可能性もある。また、シーズン途中であったため、主力級プレーヤーの獲得には至らなかった。そのため、夏に本命センターバック獲得を目指す方針かもしれない。昨年から噂にあがっているベン・ホワイトやカリドゥ・クリバリらが本命のようにも思える。
冬の移籍マーケットでは、獲得した2選手だけと交渉したわけではない。マルセイユに所属するドゥイェ・チャレタ=ツァルやウェストハム・ユナイテッドで出場機会の確保に苦しむイッサ・ディオプ、バルセロナでくすぶっているフランス代表DFサミュエル・ウムティティら、誠か嘘か、それぞれのクラブへ問い合わせが行われていたようである。
そんな獲得候補のひとりが、SCブラガに所属するポルトガルU-20代表DFダビド・カルモ。実際にリバプールから獲得の打診があったらしいが、合意には至らなかった。明確な拒否理由は発表されていないものの、シーズン途中で主力選手を手放すのは、どのチームにとっても困難な決断となる。
近年で評価がうなぎ登りのダビド・カルモ。貴重な左利きのセンターバックで、ディフェンスラインの左側を担当する。年齢は21歳とまだまだ若く、これから世界的なディフェンダーへと成長できるだけのポテンシャルを兼ね備える。
ポルトガルの選手らしく、ボールコントロールに長け、後方からの組み立てや攻撃参加でも脅威をもたらす。前線へのロングボールも力強く上に、正確であり、フィルジル・ファンダイクの離脱で失った一発で局面を変える飛び道具を扱える稀有な存在。
今シーズンはリーグ戦で12試合に出場し、ポテンシャルの高さを見せつけている。ヨーロッパリーグでも出場機会を得ており、プレミアリーグのレスター・シティとの対戦経験がある。4失点での大敗であったものの、世界最高峰リーグのテイストを味わった。
一方で、試合欠場の多さも目立つ。レッドカードによる出場停止に加えて、新型コロナにも感染し、2週間程度の離脱。直近では足首を骨折し、長期間の離脱が見込まれている。マティプの度重なる負傷に、ジョー・ゴメスも毎シーズン離脱する時期が必ずある。ファンダイクは丈夫だが、負傷者に悩まされるクラブが、足首に不安を抱える状態の選手に興味を抱くかは不透明だ。
夏には完治し、万全の状態に戻っている可能性は高いが、念入りに回復具合をチェックするはず。それでも、夏になれば、各クラブも時間の余裕を持って後釜探しに注力できる。つまりは、リバプールも冬には門前払いを受けたようなディフェンダーへのアプローチも可能になる。
ジョー・ゴメスとポジションを争えるような即戦力を求めるリバプールにとって、移籍市場でふたたびセンターバック補強に動くのか…それとも、オザン・カバクの買取オプションを行使するのか…他にも多くの獲得候補が存在しているため、ダビド・カルモの加入実現は限りなく低いように思える。
別のポジションも戦力アップが必要とされるだけに、限られた資金をどのように使っていくのだろうか。数々の成功を収めてきたリバプールの移籍委員会が、真の力を発揮する…?