契約延長交渉が進まず、今夏での退団の可能性が限りなく高まっているオランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥム。その代役として、今年の冬にも移籍報道が過熱したポルトガル代表MFレナト・サンチェスだが、今年の夏の移籍市場でのリバプール加入が既定路線だそうだ。
ユーロ2016で鮮烈なヨーロッパデビューを飾った神童は、輝かしキャリアを歩む予定であった。しかし、移籍先の選定にしくじってしまった。大会後に争奪戦の末、ドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンへと完全移籍。チーム内でのポジション争いに敗れ、ベンチを温める日々が続き、能力を伸ばすどころか、ポルトガル期待の若手という称号も忘れ去られてしまった。
再起を図るため、スウォンジー・シティへとローン移籍。それでも、キャリアが改善することなく、期限終了とともに、ドイツへと舞い戻った。まだ老け込む年齢ではなく、ふたたび再興に向けて歩み出す。バイエルンを去り、2019年にリーグ・アンで戦うリールへと加入すると、着実に出場機会を得て、少しずつキャリアが上向いている。
豊富な運動量で中盤を走り回ることができ、攻守に力を発揮できる。フィジカルも申し分なく、簡単には当たり負けしない。パスやドリブル、攻守の切り替え、シュート…かつてユーロ2016を沸かした才能は鈍っておらず、出場機会としっかりとした役割を与えてあげれば、まだまだ活躍できることを証明している。
ワイナルドゥムが退団となると、中盤で身体を張れるタイプの選手が少なくなる。ジョーダン・ヘンダーソンやジェームズ・ミルナーあたりを残すのみになり、他の中盤は攻撃に持ち味のある選手が多い。ファビーニョはより低い位置で、中盤で激しいプレッシングをかける役割よりも、的確なポジショニングでボールを回収する役割のため、ロールが異なる。
その点、レナト・サンチェスであれば、十分に代役を務められそうである。問題はリーグ・アンよりも格段にレベルの上がるプレミアリーグで実力を発揮できるか否か。加えて、バイエルン・ミュンヘンという巨大組織で大成できなかったのも、少々気がかり。
2年前、2150万ポンド(約30.1億円)でバイエルンから獲得したリールは、安く譲るつもりはない。多くの利益を上乗せした金額での売却を狙っており、リバプール側すれば、交渉の魔術師マイケル・エドワーズの手腕が試される場面だろう。ただ、ジェイドン・サンチョらポジションは違うが、要求額が暴騰している選手に比べれば、非常に安価での補強が可能である。
守備面でのアビリティを兼ね備え、対人でも強さを発揮できるポルトガル代表かつての神童の獲得は的を得ている。ライバルになるであろうナビ・ケイタやアレックス・オックスレイド=チェンバレンらは負傷を繰り返し、継続的に良質なパフォーマンスを提供できずにいる。
カーティス・ジョーンズが台頭しているため、チアゴ・アルカンタラ含めたミッドフィルダーのポジション争いの熾烈さを保ためにも、中盤にスタメン争いをできるレベルのプレーヤーを確保したい。イヴ・ビスマなど他の候補者の名前も頻繁にメディアを賑わしている。
来シーズンの中盤がどのような構成になっているか、読むのは難しい。ジョーダン・ヘンダーソンやファビーニョが筆頭には変わりないが、チアゴやジョーンズ、そして新戦力の加入により、陣形自体をいじる可能性すらあるかもしれない。
負傷者続出で、満足のいく人選ができなかった今シーズンから巻き返すためにも…レナト・サンチェス含めた獲得リストに上がっていそうな選手たちの情報には敏感でいたい…