UEFAチャンピオンズリーグ・ベスト16。セリエA王者であり、CLにめっぽう強いクリスティアーノ・ロナウド有するユベントスとの死闘を制し、ベスト8へと名乗りを上げたのが、ポルトガルの雄FCポルト。退場により、数的不利になりながらも掴んだ勝利だけに、勢いに乗る意味で、価値のある勝ちとなった。
ポルトといえば、リバプールからのローン移籍でセルビア代表MFマルコ・グルイッチが所属している。定位置確保には苦戦しているが、それなりに出場機会を得ており、ユベントスとのホーム&アウェイ両試合ともに途中出場しており、チームの勝利に貢献している。
強力なフォワード陣で攻め立てたイタリア王者に対して、賢明な守りでかろうじて逃げ切った守備陣の中心として活躍するのが、コンゴ代表DFシャンセル・ムベンバ。かつてはプレミアリーグ・ニューカッスルでもプレーした経験を持つセンターバックが、補強リストに追加されたようだ。
2015年から約3年間に渡ったプレミアリーグ挑戦は、ポジティブなものではなかった。イングランド北部では、ほとんどの時間をベンチやベンチ外で過ごしており、適応していたとは言い難い。プレー時間があまりにも短いため、実力を発揮するに至らず、2018年に獲得に費やした移籍金の半額程度でポルトガルへと完全移籍した。
活躍していないとはいえ、イングランドサッカーを経験しているのは心強い。フィジカルも強靭で、スピードやボールタッチも申し分ない。ドリブルでそのまま上げる場面も多く、攻撃参加も得意としている印象。また、アフリカの選手らしく、身体能力も高く、全体的に無理が効く。クロップ監督の指揮下で、開花する可能性も秘めている。
ただ、すでに26歳であり、成長期は過ぎている。今後の爆発的な向上は考えにくく、プレミアリーグで失敗している過去も考慮してしまうと、手を出しづらい。リーグ戦などでも、主力ではあるが、圧倒的なパフォーマンスを披露しているとも言いにくく、トップクラスのクラブで通用すると断然できるタイプの選手ではない。
今回の噂も、ユベントス戦で世界的なスコアラーである『クリロナ』を見事に抑えたことによる影響が大きい。単発の驚異的なパフォーマンスで移籍の噂が上がっただけのようにも映る。それでも、約1500万ユーロ(約21億円)という割安な移籍金はとても魅力的。4番手のセンターバック候補として、獲得に動く可能性があるかもしれない。
あとは、シャルケからローン移籍中のオザン・カバクの状況次第。買取オプションを行使するか否かは、トルコ代表DFがどれだけクロップ監督に実力やポテンシャルを見せつけられるかに掛かっている。もしリバプールがオプションを行使した場合、ジョエル・マティプやナサニエル・フィリップスを併用すれば間に合いそうであり、コンゴ代表DFの獲得を見送るはず。
個人的な見解としては、リバプールがポルトDFFシャンセル・ムベンバへの動きを本格化させたら、驚き以外の何物でもない。カバクの買取金も比較的格安であり、ジョー・ゴメスと争えるレベルのセンターバックと考えると、ムベンバでは物足りない。果たして、本命は誰なのだろうか…?