カーディフ・シティから若くしてアーセナルへ移籍。それ以来、中盤を支え続け、高い決定力でチームを助けるパフォーマンスを披露。負傷にも悩まされたが、コンディションが整ったときの能力は抜群で、前線への飛び出しは相手守備陣に恐怖を与える。中盤で試合を作ることもでき、ウェールズ代表では同世代のガレス・ベイル(トッテナム)や元リバプールのジョー・アレンらと最高の世代を作り上げた。
アーセナルでは371試合65ゴール65アシストという数字を残し、プレミアリーグ屈指のミッドフィルダーへと成長。そのままロンドンでキャリアを終えるかに見えたが、契約の延長交渉がまとまらず、フリー移籍でセリエA王者ユベントスへと加わった。それが、2019年の出来事であった。イタリアの地では、ここまで61試合6ゴール6アシストを記録しており、まずまずの結果を残している。
『Calcio Mercato』によれば、リバプールとウェストハム・ユナイテッドが、ウェールズ代表MFに興味を示していると報じた。契約はまだ2年間残っているが、今夏での退団も噂されている。年末には31歳とベテランの域を迎えるだけに、キャリアの最後のフェーズで、慣れ親しんだプレミアリーグへ舞い戻ることも選択肢に入っているかもしれない。
イタリアでの生活に満足と公言しているラムジーだが、ジョルジニオ・ワイナルドゥムが退団濃厚なリバプールが即戦力の確保に動くことは容易に想像できる。オランダ代表ほどのフィジカル面での強さはないが、頭の良い選手であり、得点の絡めるのは最大の特長だ。チームのために惜しみなく働くこともでき、クロップ・サッカーには合いそうな雰囲気がある。
しかし、懸念点が多すぎる。まずは、年齢がワイナルドゥムと同い年であり、中盤でハードワークをし続けるには辛い年齢に差し掛かっている。むしろ、30歳で休みなく、無尽蔵なスタミナで走り回るワイナルドゥムが異常と言える。ジェームズ・ミルナーやジョーダン・ヘンダーソンも年齢を重ね、激しいプレッシングの蓄積によって、離脱する回数も増えており、大きな心配事である。
さらには、守備面でどこまで貢献できるかが不透明だ。強さと激しさを兼ね備えたプレッシングで、ボールを仮に行くため、プレー強度の高さが求められる。全盛期のラムジーなら問題ないが、ピークを超えており、継続的にプレスを繰り返せるかは不確定要素。負傷が多い印象もあり、リバプールの希望に合致している確率は低いだろう。
それでも、プレミアリーグでの経験や攻撃センスは買いであり、チームの深みを作るためには欲しい人材。ただ、給与額もそれなりを提示しなければいけないことが予想されるため、別のターゲットに集中する可能性が高い。加えて、カーティス・ジョーンズやナビ・ケイタの出場機会を制限してしまうため、今回の報道は噂でしかない、と思われる。
一方、ウェストハムはチームの陣容を整える目的で、十分に考えられる新天地だろう。まずは、ジェシー・リンガードの完全移籍を実現させ、その後に中盤にさらなる質を注入するためにも、元アーセナルMFの獲得もあり得る。チャンピオンズリーグ、もしくはヨーロッパリーグ出場権争いの真っ只中であり、リーグ戦以外での戦える戦力を揃えなければいけず、ラムジーは面白いオプションになりそう。
いずれにせよ、そもそもユベントスがウェールズ代表MFを放出するかに注目したい。絶対的なスタメンではないものの、それなりに出場機会を得ており、トリノでの生活に不満がない以上は契約を全うしそうな印象がある。ユベントスおよびアーロン・ラムジー本人が、今夏どのような決断を下すのか…