11歳になるまでマンチェスター・シティのアカデミーで過ごした大器は、リバプールアカデミーの環境を魅力的に感じたこともあり、成長の場をアンフィールドへと移した。以来、順調にカテゴリーを昇格し続け、昨年には17歳となったタイミングで初めてのプロ契約を結んだ本人もマンチェスターからリバプールへの移籍の決断について、具体的な背景をインタビューで語っている。
「シティでのキャリアパスは好ましいものではなかった。他の場所に比べると、ひとつのグループにタレントが多すぎて、個人に集中してくれていないと思ったんだ。」
「あの時点で、僕の両親はシティが僕にとってベストな場所ではないと考えていた。」
17歳とは思えない体躯で、U-18カテゴリーにおいて、その身長や体格は抜きに出ている。すでに体が出来上がっている印象もある攻撃的ミッドフィルダーのジェームズ・バラギジは、今シーズン18試合に出場。昨年に行われたFAカップの1戦ではハットトリックを奪うなど貢献度は高く、来季はさらに上のカテゴリーへの昇格や定着もありそうだ。コンゴにもルーツを持つ同選手は、いまや将来を嘱望される逸材として注目を集めている。
当たり負けしないフィジカルに加えて、卓越したテクニックやスルーパスで攻撃を組み立てる。囲まれても慌てることなく、落ち着いたプレーに終始できる一方で、長いストライドを武器に仕掛けるドリブルで、相手選手を近づけさせない。ドリブル突破よりも、パスを回していくタイプの選手であり、かつてマンチェスター・シティで活躍したコートジボアール代表MFヤヤ・トゥーレを思い起こさせる。
イングランドU-17代表にも招集される同選手は、トレント・アレクサンダー=アーノルドやカーティス・ジョーンズのように、トップチーム定着を狙えるだけのポテンシャルを兼ね備える。数年後には新たな中盤の要として、アンフィールドでサポーターたちを歓喜させている可能性も十分にあり得る。強いフィジカルを有しているだけに、守備的MFでも機能しそうな雰囲気もあり、ユーティリティ性に期待が膨らむ。
家族で決めた移籍の決断に後悔は全くない。アカデミーやクラブの方針などにも満足しており、望ましい環境で成長にフォーカスできているようだ。
「クラブには一体感があって、全員がひとつの大きなプロジェクトの一部である。」
「ほんとに良いコミュニティで、最良な仕事環境だね。ここでは、すべての人々が成長できるんだ。」
タイラー・モートンら幼い頃から育った選手と、マテウス・ムジアロウスキーやカイデ・ゴードンのようにアカデミー強化を目的に獲得してきた有望株がうまく融合し、ポテンシャルに恵まれた10代のプレーヤーが続々と出てきている。U-21レベルでは、レイトン・スチュワートやビリー・クメティオ、レイトン・クラークソンなどリバプールの未来を担うかもしれない選手が台頭してきている。
マイケル・オーウェンやスティーブン・ジェラード、ジェイミー・キャラガーと高みを極めたプレーヤーたちが続々とトップチームに昇格した時代を思い出す。すでにトレント・アレクサンダー=アーノルドが世界的な右サイドバックとして名を馳せており、カーティス・ジョーンズも後を追っている。
判断スピードやポジショニングなど改善すべき点は多くあり、いますぐにトップチームでの起用は難しい。カップ戦を中心に出場機会を増やしていき、少しずつトップレベルに慣れる必要がある。手厚く成長を促すと同時に、フィジカル面では対等に張り合える確率もあり、トップチーム昇格が早まる可能性も否定できない。
ハーヴェイ・エリオットの成功事例を参考に、ローン移籍も視野に入れつつ、試合での経験値を高めていきたい。何年後になるかは誰にもわからないが、覚えておいて損はない名前であり、成長の様子には着目していきたい…