前節は撃ち合いとなったリーズ・ユナイテッドとの対戦。リバプールFWサディオ・マネの久しぶりのゴールで先制し、守護神アリソン・ベッカーの好セーブで0失点に抑えて、プレミアリーグ4位浮上が近付いてた。しかし、87分にコーナーキックからスペイン人DFディエゴ・ジョレンテに同点弾を奪われ、勝ち点を分け合うことになった。よって、リバプールは6位のまま変わりなく、試合数が1試合減ってしまった。
来季のチャンピオンズリーグ出場を狙うクラブにとって、勝ち点を取りこぼしたことは手痛い引き分けとなってしまった。しかし、ヨーロッパ3大リーグのビッグクラブが正式発表した『スーパーリーグ』構想によって、試合内容に集中しきれない。
現役を退いている数多くのサッカー選手が批判するコメントをメディアやSNSで発信する一方で、ジョゼ・モウリーニョには『スーパーリーグ』に反対するため、選手とともに練習をボイコットしたことで解任されたとの噂がまことしやかに囁かれている。リバプールMFジェームズ・ミルナーも個人的な意見と前置きした上で、『スーパーリーグ』が開催されないことを願っている旨を発言している。
リーズ戦で報道陣からのインタビューに応じたチームを率いるユルゲン・クロップ監督も寝耳に水のようで、試合の前日に初めて聞いたことを明らかにしている。そして、各クラブのオーナー陣だけで合意形成されていることを強調し、監督自身や選手に非がないことを明言している。
「このクラブでは6年間過ごしている。オーナー陣もよく知っているし、彼らは道理をわきまえており、真剣に取り組んでいる。」
「彼らは我々を守ってくれているが、このような決定に関しては決して事前に説明してくれず、許可を求めることもしない。」
「彼らとよく話すけど、今回の決定におけるプロセスには一切関わっていない。」
「私自身も昨日情報を得たばかり。誰も何が起こるか分からない。私も何も知らない。」
「チームは今回の発表とは全く関係ない。選手たちにとっても唐突な発表にも関わらず、人々はオーナー陣と同等の扱いをしてしまう。」
「リーズ・サポーターがスタジアムに来て、試合前には私たちに向かって大声を張り上げていた。」
「私たちは意思決定に含まれていない。私たちはクラブと契約している身であり、クラブで起きる多くの出来事に対して責任感を持っている。」
「今回の状況に巻き込まれても、私自身は批判を容易に受け止められる。しかし、選手たちは批判を受けるに値しない。」
「私たちは何も知らなかった。だからこそ、現時点では辛い状況に追い込まれている。」
UEFAも対抗するかのように、参加チーム数を増やしたチャンピオンズリーグ発足を正式発表しており、全面戦争の様相を呈している。でも、問題は選手や監督、ファンの気持ちが全く考慮されておらず、登場する組織のすべてがいかに継続的にお金儲けができるかを考えている。
UEFAやFIFAはただでさえ熾烈なリーグ戦に加えて、ネーションズリーグやチャンピオンズリーグの参加チーム増加を画策し、収益の増大を狙っている。選手にとっては試合数が増加し、疲労困憊のまま試合を行わなければならず、怪我の長期化にもつながることをクラブチームは批判してきたが、明確な改善が見られないこともあり、ビッグクラブが対抗組織を立ち上げたのかもしれない。
つまりは、直接的に売上が影響するステークホルダーだけで決められた透明性のない組織であることは、いずれの組織にも当てはまる。実際に試合をする選手や監督、そしてお金を出すサポーターの感情を無視した決定だけに、ボイコットが起こっても何ら不思議ではない。さらには、今後参加クラブの監督や選手が解任ないし放出される事態にも容易に陥るだろう。
まだ、ほんとにどうなるか分からない。いわゆるビッグクラブだけではなく、そしてUEFAやFIFAだけでなく、その他のクラブからも非難が相次いでおり、将来は不透明だ。一方で、スーパーリーグのフロレンティーノ・ペレス会長は早ければ今年8月からの発足をほのめかしており、事態は混迷を極めている。
はたして、欧州サッカーの未来はどうなるのだろうか?逆説だが、利権が蔓延るとも言われるFIFAやUEFAの組織体質改善にもつながる可能性もあり、一概に反対とは言えないのが難しいところ。それでも、これまでのリーグや大会が維持され、一部のクラブだけが神が如く扱われる大会は決して面白くないことだけは明白だ…