リバプールでのポジション争いに敗れ、ベンチを温める日々も多かった日本代表・南野拓実。ポルトガル代表FWディオゴ・ジョッタの加入が決定打。プレミアリーグでの2年に及ぶ経験は大きく、すぐさまチームに適応し、得点においても結果を出し続けた。シェルダン・シャキリの復調などもあり、厳しい立場になってしまった。
今冬の移籍市場で、締切期日ギリギリで同リーグのサウサンプトンへとレンタルが決定。日本代表の同僚である吉田麻也が長らく活躍したクラブであり、同選手からアドバイスを受けた日本代表のエースは、出場機会を得るために移籍を決断。
新天地では移籍後初戦のニューカッスル戦で、見事なトラップから抜け出し、すぐに得点を決めた。ラルフ・ハーゼンヒュットル監督の期待に応えるべく、そして自らのキャリアを再構築するためにも、大きなプレッシャーを感じていたことを明かし、初ゴールがすべての重責から解放してくれたようである。
「加入して3日目だと思うけど、実力を証明しないといけなかった。振り返ると、ゴールを挙げられたことがプレッシャーから解放してくれ、このクラブに所属している気持ちにさせてくれた。」
初ゴールから2得点まで時間はかからなかった。トーマス・トゥヘル監督が就任して以来、強固な守備で失点数が明らかに減少していたチェルシー。好調を維持していた相手チームの中央を突破し、ゴール前で冷静な対応を見せたプレーぶりは英国メディアでも盛んに取り上げられたほど。ゴールを決めたシーンを振り返り、心境などを解説している。
「ディフェンダーの裏のスペースに走り込んだところで、素晴らしいパスを通してもらい、得点のチャンスを得られたんだ。ゴールキーパーの動きはしっかりと見えていたし、ディフェンダーがスライディングタックルしてくるところも間接視野で確認できていた。」
同じくエバートンからのローン移籍しているFWテオ・ウォルコットらの復帰や日本代表への参加を契機に、出場機会が目減りしている南野拓実だが、シーズンが終了するまでにさらなる実力を証明したいと意気込んでいる。
「(レンタル移籍が)良い経験になることを期待している。でも、ここで足跡を残さないといけないとも感じている。他の人々が言っていることは気にしていないし、リバプールからのレンタルだからかもしれないけど、ひとつとして記事は読んでいないんだ。」
「個人的には、チームメイトとうまくやっているし、環境も気に入っている。最も重要な要素として、サッカー選手として重要なゲーム時間を確保できているため、満足しているよ。」
他方、将来はまだまだ不透明。ユルゲン・クロップ監督は長期計画の一部であることを強調しており、いまだに評価は高い。イングランドサッカーへの適応に加えて、展開の早いサッカーに馴染めるポテンシャルを見せつけられれば、来シーズンはプレミアリーグ王者へ戻る可能性も高い。
ラルフ・ハーゼンヒュットル監督もまた日本代表エースを評価している。RBザルツブルクに所属していた当時にも獲得を熱望したとの報道が流れるほど、能力には疑いの余地がない。サウサンプトンは元イングランド代表テオ・ウォルコットの完全移籍を優先していると伝えられており、イングランド北部へ戻る確率が高まっている。
他にもセビージャからの関心も報じられており、曖昧な未来にも関わらず、選手本人はいま何ができるかを考えることに集中しているようだ。
「いま、なにができるかに集中している。サッカー選手であり、6ヶ月後にどこでプレーしているかは分からない。でも、高いレベルでプレーしたいとは思っている。」
「期待しているほどにゲーム時間を確保できないのは、選手として良い兆候ではない。トレーニングだけだったり、スタメンに名前がないのは辛い。チャンスをもらえるのは、精神面を整える意味でも助けになるね。」
残り試合数が少なくなってきたプレミアリーグだけに、数少ないチャンスを活かせるか否かによって、南野拓実の将来は大きく様変わりしそう。当落線上であることに変わりなく、リバプールが新たなストライカーを狙っている事実を鑑みると、例えディボク・オリギやシェルダン・シャキリが退団するとしても熾烈なポジション争いは避けられない。
今後どれだけ出場機会を得られるのか、そして得点やアシストなどわかりやすい数字で価値を証明できるのか…ここからの大爆発を期待しつつも、来シーズンはリバプールに残留し、さらなる飛躍を見てみたい…