センターフォワードであるイングランド代表FWハリー・ケインが得点に加えて、攻撃の組み立てにと奔走し、代えが効かない絶対的な存在。マウリシオ・ポチェッティーノ時代からバックアップには苦慮しており、ジョゼ・モウリーニョも頭を悩ませる課題だ。まして、クリスティアン・エリクセンの移籍やデレ・アリの不調に伴い、前線だけでなく中盤まで下がり、攻撃のスイッチを入れる役割まで担うはめに。
ソン・フンミンが好調を維持し、抜群のパートナーシップで得点を量産するのはポジティブだが、やはりハリー・ケインがすべての中心であることに変わりなく、負傷などで離脱すると別のチームに成り代わる。今季はベンフィカからブラジル人FWカルロス・ヴィニシウスをローンで獲得したものの、期待に応えられずに、クラブは買取オプションの行使を見送る予定。
同じくレアル・マドリードからレンタル加入中のFWガレス・ベイルは、後半戦で復調してきている。しかし、多額の移籍金に加えて、トッテナム内では破格の高給取りがネックとなり、古巣復帰の可能性は低いように思える。
そんな中、新たなるフォワードのバックアップ獲得を望んでおり、ブンデスリーガに視線を移している。『Daily Mail』の報道によれば、今シーズン好調を保っているVfBシュトゥットガルト所属FWサーシャ・カライジッチが、トッテナムの獲得リストの上位に記載されているようだ。
23歳のオーストリア代表FWは、昇格したクラブで大ブレイク。今季は27試合で、14ゴール4アシストと素晴らしいシーズンを過ごしている。代表でも5試合3ゴールと、驚異的な得点感覚を有している。イングランド代表FWとポジション争いには能力が足りないが、プレミアリーグにステップアップできるだけのポテンシャルを持っており、貴重な戦力になるのは間違いない。
今シーズン、プレミアリーグで大躍進を遂げるウェストハム・ユナイテッドに加え、ノルウェー代表FWアーリング・ブラウト・ハーランド退団に備えるボルシア・ドルトムントらも関心を示していると伝えられる高身長フォワードだけに、熾烈な獲得競争が繰り広げられる可能性が高い。
ひとつ面白いことは、同選手がリバプールへの愛を語っていること。子供の頃からスタジアムに足を運ぶほどの熱烈なサポーターであり、リバプールからのオファーを断るのは難しいと吐露した過去がある。プレミアリーグ王者がオファーを提示する確率はほぼないが、イングランドの他のクラブへの移籍を希望するかもしれない。
ハリー・ケインとは直接的な代役にはなり得ない。特長が異なるため、サッカースタイルの変更が求められる。それでも、堅守速攻を信条とするスパーズにとって、前線にターゲットとなる選手がいるのは大きな強みになり、大事なオプションのひとつになり得る。また、正確なクロスを持つ選手も多く、身長の高い選手を重宝するデイビッド・モイーズ監督が率いるウェストハムも面白い選択肢だ。
ブンデスリーガ1年生でもあり、シュトゥットガルトに残留する道も残されている。2年目もシュトゥットガルトで過ごし結果を出し、ハリー・ケインやソン・フンミンとポジションを争えるレベルに達してからでも移籍は遅くない。今夏の移籍市場で何かしらの決断を下す必要に迫られそうなオーストリア代表だが、来シーズンはどこに所属しているのだろうか…