30年ぶりにイングランドの頂点に立ったリバプールは、2020年8月ポーランドのUKS SMSウッチから期待の若手FWマテウス・ムジアロウスキー獲得に成功した。多くのクラブは触手を伸ばした逸材であり、かねてから能力は高く評価されていた。とくにドリブル突破は同世代では抜きん出ており、ポーランドのリオネル・メッシと評されているとかいないとか。
新型コロナや負傷の影響から出遅れたが、少しずつイングランドサッカーおよびイングランドの生活へ適応。昨年11月頃からゴールやアシストを積み重ね続けており、現時点で22試合10得点3アシストを見事な数字を残している。両サイドのウイングやセンターフォワード、トップ下と複数ポジションでプレー可能。一躍有名になったのは、ニューカッスル戦で決めた単独でのドリブル突破からの狙いすました『この』ゴール。
Mateusz Musialowski with an unbelievable goal for #LFCU18s at the weekend 👏👏 pic.twitter.com/EGCShBgQ9l
— Liverpool FC (@LFC) March 16, 2021
体作りはまだまだ幼さが残る中でも、巧みなボディーバランスと高いテクニックで襲いかかる相手ディフェンスを掻い潜ったスーパーゴールは、SNSでバズった。代名詞は吸い付くようなドリブル。稀代のドリブラー、リオネル・メッシとの比較されるほどの細かなステップでの突破に、イギリス式のダイレクトなサッカーを手に入れれば、幾重にも張り巡らされる対策網を容易に突破できるようになるだろう。
トップチームデビューも近いポーランドU-17代表FWは、先日のインターナショナルウィーク期間中にトップチームの選手たちとのプレー機会を得ており、コーチ陣に良い印象を与えることに成功。来シーズンのプレシーズンキャンプやカップ戦での起用も考えられる。
期待が高まるばかりの若手FWマテウス・ムジアロウスキーは、自身最大の強みであるドリブルが大好きであることを認め、今後についても極めていく姿勢をLFC公式とのインタビューで明かしている。
「ボールをもらって、全員をドリブルで躱していくのが大好き。それが僕のサッカーのスタイルだよ。」
「最初の選手をドリブルで抜いたら、自信に繋がって、走り出したら止まれない。」
「ポーランドのコーチ陣も、アカデミーのコーチ陣もドリブルを止めろと言われたことはない。だからこそ、そのまま続けているんだ。」
順風満帆なサッカー人生を過ごしているようにも見える同選手だが、改善点が多いことも事実。引き続き、カテゴリーを駆け上がるために必要な要素を、ポーランド時代からリバプールU-18FWの成長を見守ってきた同国のスカウトであるプシェメク・ソクジンスキーは的確に指摘している。
「彼は戦術理解度を向上させないといけない。そして、ピッチ上での状況判断も改善の余地がある。」
「ボールを失う場面をたびたび見かける。ただ、同世代との対戦だとそのままドリブルで運ぶことができてしまう。」
「しかし、U-23やファーストチームでは同じようにはいかない。状況に応じたプレー選択の質を高めていかないと、ボールを奪われてしまう。」
今後も成長速度を緩めないためにも、サッカー脳とも言うべきスキルの向上が必須。また当たり負けしないフィジカル作りも必要不可欠。ゴリゴリのディフェンダーが群雄割拠するプレミアリーグで活躍するには、モハメド・サラーほどとまでは言わないが、多少の当たりでも倒れない体幹を鍛えなければ、ボールを収めることすらままならない。
とはいえ、期待度は高いまま。同年代ではタイラー・モートンやカイデ・ゴードン、ジェームズ・バラギジらと切磋琢磨しながらも、ひとつ上の世代のレイトン・スチュワートやレイトン・クラークソンらとの競争に打ち勝ち、いつの日かアンフィールドで満員のサポーターの前でゴールを決める…そんな日が来ることを待ち焦がれている…