2018年にフランス代表で世界の頂点に立ったバルセロナDFサミュエル・ウムティティ。ボール扱いに優れ、的確なパスを前線に供給できる現代的なセンターバックだが、カタルーニャで苦境に立たされている。近年は負傷に悩まされ、試合に出場すらできていない。今シーズンに限っては、リーグ戦でたった12試合出場のみ。スタメンは6試合だけで、バックアッパーに成り下がってしまった。
ジェラール・ピケやクレマン・ラングレの主力センターバックに加え、若手CBオスカル・ミンゲサやロナルド・アラウホらが存在感を示し始めており、新世代を担うディフェンダー陣が育ちつつある。さらに、フィリペ・コウチーニョやウサマン・デンベレなどに大金を費やした影響に加えて、新型コロナの影響で財政悪化を引き起こしており、人員整理を迫られている。
放出候補のひとりである元フランス代表DFが、バーゲン価格で売りに出されている。移籍金はわずか600万ポンド(約8.4億円)。センターバック補強を最優先に掲げるリバプールのほかに、マンチェスター・シティやマンチェスター・ユナイテッド、ユベントス、リヨン、リールといったヨーロッパクラブに対して、売り込みが始まっているようだ。
27歳と年齢的には再浮上も十分に考えられる。怪我から完全復活できさえすれば、能力は証明済み。キャリアの頂点であった20代前半ほどのパフォーマンスは見込めないかもしれないが、ふたたびトッププレーヤーへ返り咲く道筋もあり得る。
以前には元リバプールDFデヤン・ロブレンが完全移籍したFCゼニト・サンクトペテルブルクとの関係も報道されていたが、選手本人はヨーロッパ5大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)でのプレーを望んでおり、交渉が頓挫した経緯を持つ。
しかし、リバプールがワールドカップ優勝経験者を補強する確率は全くないと言える。RBライプツィヒからイブラヒマ・コナテ獲得が近づいており、トルコ代表DFオザン・カバクの買取オプション行使も予想されている。フィルジル・ファンダイクとジョー・ゴメスのセンターバックコンビが来季には復帰し、負傷がちであるジョエル・マティプも能力は申し分ない。
バックアップ陣含めて、充実なセンターバック陣を有することになるリバプール。最悪の場合には、ファビーニョがセンターバックを務められる。そうなると、6番手や7番手として、サミュエル・ウムティティを迎え入れる必要性がない。選手自身もほとんど試合に出れないクラブへの移籍を受け入れるとは思えない。
リヨンやリールあたりが現実的な新天地にも映るが、他のクラブが獲得に名乗りを上げる可能性も否定できない。はたして、フランスのW杯優勝に貢献したディフェンダーの行き先はどこになるのやら…