絶対的守護神アリソン・ベッカーが君臨するリバプールにおいて、他のゴールキーパーにはあまり出番が巡って来ない。それでもプレミアリーグ制覇を成し遂げた昨シーズン、スペイン人GKアドリアンがブラジル代表GKが負傷で離脱しているあいだ、見事に穴を埋めた。
今シーズンも第2GKとしてスタートしたが、不安定なパフォーマンスに終始。7失点を献上したアストン・ビラ戦を契機に、若手GKクィービーン・ケレハーに出場機会を明け渡す。アイルランド人GKは落ち着き払ったプレーぶりを披露し、そのままセカンドGKへと定着してしまった。
アリソンが怪我で戦線離脱している期間だけと、ただでさえ少ない出番であったにも関わらず、トップチームでのプレー機会はさらに遠のいてしまう。第3GKへと序列を下げたアドリアンだが、腐らずにゴールキーパー陣を盛り立て、ひいては持ち前の明るさでチームを支え続けている。
今季はたった6試合のみの出場に留まっている同選手に対して、リバプールは契約延長オファーを提示した模様。『Daily Mail』の報道によれば、今夏での契約満了に伴う退団が濃厚と思われたが、来季以降の残留を目指した話し合いが持たれているようだ。
34歳を迎えたゴールキーパーが試合に出ることを望むかどうかは、クラブと選手本人にしかわからない。もしも出場機会を求める場合には、契約延長に合意するわけもない。
延長オファーに動いた背景には、財政難に苦しむ現時点で同ポジションに費用をかけたくないこと、そしてフリーで獲得でき、要件に合致する選手が市場に存在していないことがある。センターバックやミッドフィルダーが優先事項であり、世界でもトップクラスのGKを有するポジションは除外される。
また、アストン・ビラに所属するトム・ヒートンの動向にも注視していたようだが、マンチェスター・ユナイテッド加入が目前に迫っていると報じられている。元イングランド代表GKを逃した昨年のイングランド王者は、クラブの内情を理解しているスペイン人GKへと舞い戻った。
他のビッグクラブほどの潤沢な資金力を持っているわけではないリバプールにおいて、今回のニュースは理にかなっている。真相は不透明だが、個人的には高い人間性を有するアドリアンが残留を選択してくれることを、ひそかに願っている…