サディオ・マネとロベルト・フィルミーノが期待されている得点数をあげられず、モハメド・サラーがひとり奮起しているフロントスリー。エジプシャン・キングも包囲網に苦しみ、以前のようなキレのあるドリブル突破が形を潜め、世代交代が叫ばれている。
昨年夏に加入したディオゴ・ジョッタがすぐにチームに馴染み、得点を量産。ローン先で大ブレークしたハーヴェイ・エリオットが復帰する来シーズンは、前線にはさらなる厚みが加わる。一方で、ベルギー代表FWディボク・オリギやスイス代表FWシェルダン・シャキリらが今季限りでの退団予定で、枚数は減ってしまう。
ワトフォード FWイスマイラ・サールなど現実的なプランが報じられる中、サプライズ補強も絶えず報道されている。アーリング・ブラウト・ハーランド(ドルトムント)やジェイドン・サンチョ(ドルトムント)、キリアン・エムバペ(PSG)…世界でもトップクラスの評価を得ている若手選手たちだ。
レアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドらヨーロッパのビッグクラブがこぞって獲得を狙う3選手であり、アンフィールドへ連れて来れれば必ず貴重な戦力になることは間違いない。しかし、法外な移籍金は新型コロナで財政悪化しているクラブにとっては、慎重にならざるを得ない。
リバプールも例外ではない。チームを率いるユルゲン・クロップ監督はチャンピオンズリーグ出場権争いを兼ね合いに出しながら、パンデミックが作り出した異例な移籍市場において、大金を費やす移籍劇について否定している。
「チャンピオンズリーグに出れないのは痛い。でも、最大の問題でもない。移籍市場は異例なものになるからね。」
「キリアン・エムバペやハーランド、サンチョら『ビッグ・マネー』での移籍をよく耳にするけど、サッカー界が以前に戻り切っていない現時点で実現しないだろう。」
「もしチャンピオンズリーグに進めなければ、それは決して良いことではない。でも、まだチャンスは転がっていて、チャンスがある以上はチャンスがないかのように振る舞うべきではない。もし不可能になったら、そのときはその時で対処するよ。」
エンターテイメントとして、ビッグネーム獲得の噂は面白く、ワクワクさせてくれる。現実的にあり得ないと分かっていたとしても、1%でも可能性があるかもしれないと思わせてくれる。そして、もしも加入したらと妄想するもの悪いことではない。
それでも、前線の再構築は至上命題であり、今後数年間で対応しなければいけない課題だ。一時代が終焉に近づいているのは残念でしかたないが、時間は流れる。新たなフロントスリー…もしくはフロントツー…もしくはフロントワン…に大きな希望を抱いている。