来年の夏にカタール・ワールドカップを控え、ワールドカップ出場権を賭けた予選が世界各国で佳境を迎えている。先月にもインターナショナルマッチウィークのため、リーグ戦が中断されており、10月に加えて、11月の中旬にも国際試合を2~3試合が開催される。
代表クラスの選手を多く抱えるビッグクラブは試合数の多さに頭を悩まされており、チーム作りに影響が出ている。ただでさえ、招集されることで怪我の可能性が高まり、疲労の色も色濃く残る。週末の試合に向けた準備もままならず、チームを率いる監督やコーチ陣は苦悩の日々を過ごしている。
なにもいまに始まった議論ではない。ここまで熱くなっているのは、イギリス政府から『レッドリスト』指定されている国々への派遣に伴う隔離措置の負担に加え、今回はブラジル代表とウルグアイ代表との試合が、今週末に予定される試合のほぼ1日前に開催されていることに端を発している。
フライト時間も含めると、休息に充てられる時間はなく、ブラジル代表選手を抱えるクラブはかねてから不満を口にしていた。チェルシーはチアゴ・シルバ、リバプールはファビーニョとアリソン、主力選手が週末の試合に欠場せざるを得ない状況に陥っている。
チェルシーのトーマス・トゥヘル監督は改めて苦言を呈しており、半ば諦めに近いコメントを残している。
「チアゴ・シルバは90分間プレーし、12時間の移動がある。今週末の試合で起用可能か? – 無理に決まってる。」
「もちろん、満足していない。でも、彼がいつ戻るか、また彼がどのくらいチームを離れるか前から知っていた。だから、新しい情報は何もない。ナショナル・ブレイクでのこうした事態には慣れているし、これが今の時代のやり方だね。」
「自チームの選手たちが国のためにプレーする試合数の多さに、コーチ陣がみんな、満足しているだろうか? – 決して、そんなことはない。」
「誰か意見を聞きに来たか? – 意見を求められたことはない。意見を出せば何かが変わるか? – それも違うだろう。この件で怒りはしない。前からわかっていたことだ。」
「UEFAコーチングミーティングでも話したけど、カレンダーはカレンダーで、受け入れなければならない。イライラしているわけでもない。ただ、気に入らないだけ。トップ・プレーヤーたちにとって、あまりにも多くの大会や試合がありすぎる。」
「試合は選手のためであり、観客のためでもある。観客はトップ・プレーヤーたちがピッチに立つことを望んでおり、コンディションが整い、熱量高く試合に臨むことを期待している。しかし、多くの大会で多くの試合をこなせば、常にそれを提供するのは難しい。」
「他リーグのように選手交代5人ではなく、プレミアリーグでは3人しか交代できない。これは対処しなければならない大きな問題だけど、実際にはそれほど苛立っているわけではない。」
プレミアリーグとワトフォードに対して、試合日程の変更を申し出たが、却下された経緯を持つリバプール。ユルゲン・クロップ監督も諦めムードで、ラ・リーガとの比較を用いて、プレミアリーグの過密すぎるスケジュールを批判している。
「ブラジル代表は昨夜試合をしており、今週末における出場のチャンスはない。我々の手には負えない事象だね。ビッグクラブだろうと、FAの決定には関係ないよ。」
「アトレティコ・マドリードは今週末に試合を行わないけど、ここ(イングランド)では決してありえないことだ。」