肉弾戦も厭わない上、インテンシティも高いプレミアリーグには世界各国から様々なタイプのサッカー選手が集まる。テクニックで相手をいなす、強靭なフィジカルで翻弄する、圧倒的スピードで振り切る、頭脳的なポジショニングで行動を予測する…高いレベルでの戦いが毎試合で繰り広げられる。
そんな中でもイングランドのサッカーファンたちを熱狂されるのは、今も昔も男たちのぶつかり合い。判定基準の見直しやVAR導入、怪我への対処などあらゆる観点から以前ほどの削りあいこそなくなったが、それでも他のリーグに比べ素早い試合展開にも関わらず、激しい肉体と肉体とのバトルがピッチの至る所で行なわれる。
今回は身体的に恵まれたゴリゴリなマッチョマンだけで、独断と偏見の名の下にイレブンを選んでみた。現時点でプレミアリーグに所属している選手を対象に、肉弾戦に強くとも見た目では細いタイプを除き、見た目からして筋肉ムキムキなプレーヤーのみで選出している。
GK:エデルソン・モラエス(マンチェスター・シティ)
到底ゴールキーパーとは思えない巧みなボール捌きに加えて、前線への正確なロングフィードで攻撃の起点にもなれる次世代GK。広すぎる肩幅に、太すぎる首。ユニフォームの上からでも分かる筋肉の盛り上がり。恐怖心を感じていないのか、果敢な飛び出しとガッチリした肉体で相手選手からボールを奪い去る。
ポジション的に、ほとんどの選手がガッチリした体型を持つゴールキーパー。選考には苦慮したが、戦術面での柔軟性や最終ラインからの決定的なチャンスメイクにも期待して、マンチェスター・シティの守護神をゴールマウスを任せたい。
RSB:リース・ジェームズ(チェルシー)
遠目から見ただけでも、体格の良さが分かる。引き締まった筋肉で、対人守備において強さを発揮しつつも、攻撃面でも右サイドでアタッカー陣をサポートする。3バックの右としてもプレー可能で、肉弾戦を挑むフォワードにも当たり負けない。
なんと言っても肩まわりの筋肉の付き方は、プレミアリーグを見渡してもあまりいない。胸板の厚さもお見事。チームのために働けるワークレートも評価が高く、様々なシステムに対応できる順応性はチームに柔軟性を与えてくれる。
CB:ルイス・ダンク(ブライトン)
屈強かつ高いセンターバックが居並ぶブライトンの最終ラインの中でも、パスもできる現代的なセンターバックを選んだ。後方からのロングフィードは正確で、ディフェンスリーダーも務められることもあり、タイロン・ミングスとの相性もきっと良いはず。
セットピースでも脅威になれる存在で、強烈なシュートもお手の物。鍛え上げた肉体で相手のフォワード陣を自由にせず、気持ちの面でも決して負けることはない。激しくもクレバーなマッチョマンは、ディフェンス陣を引っ張る。
CB:タイロン・ミングス(アストン・ビラ)
プレミアリーグやイングランド代表でも特出するフィジカルは、簡単に対戦プレーヤーを弾き飛ばす。スピードと判断力には難があり、たまにポカをするのが気になるが、テーマにはぴったりの選手であり、選ばないわけにはいかない。
筋肉の塊。長身を生かした空中戦の強さに加えて、長い手足でアタッカー陣に仕事をさせない。純然たるフィジカル勝負では勝ち目がなく、コーナーキックやフリーキックでは絶好な的となり、攻撃面にも貢献できる。
LSB:ルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)
筋肉なのか、はたまた恰幅が良いのか。判断しかねる部分はあるが、サイドバックにしては目立つ大きさは異質。当たられても簡単には倒れず、ゴリゴリのドリブルでも前にボールを運べるところは、筋骨隆々であることを願いたい。
近年は負傷に悩まされ、パフォーマンスが上がらないシーズンが続いたが、昨シーズンからのプレーぶりは無双状態。コンディションも整っており、試合中にはアップダウンを繰り返し、攻守両面においてリーグを代表する左サイドバックであることに間違いはない。
DMF:ジェームズ・ミルナー(リバプール)
恵まれた体型で育ったわけではなく、デビューしたリーズ・ユナイテッドやアストン・ビラ時代にはまだまだ細マッチョに分類されるほど。しかし、キャリアを重ねるにつれて年々筋肉量が増量傾向になると、いまではまさに鋼の筋肉を手に入れた。
年齢もあり負傷が増えているが、中盤に気合と激しさをもたらすイングランド・サッカーの申し子。サイドバック、守備的ミッドフィルダー、インサイドハーフ、左右のウインガーとあらゆるポジションで実力を発揮できる存在は貴重だ。
CMF:ムサ・シソコ(ワトフォード)
長きにわたり、ニューカッスルやトッテナム・ホットスパーで活躍した元フランス代表MFは昇格したワトフォードへ移籍。反り立つ胸板に、筋肉でまとった全身で当たり負けを知らない。ゴリゴリのドリブルで相手ディフェンス陣を切り裂き、混乱を引き起こす。
肩幅があるタイプではないが、引き締まったに肉体は一目瞭然。中盤に激しさと安定をもたらすパフォーマンスで、ときには前線に顔を出し、ときには相手のボールを刈り取る。筋肉だけでなく、運動量はチームを前進させる。
CMF:ヤイロ・リーデヴァルト(クリスタル・パレス)
今回の企画で最も選考に時間のかかった選手。クリスタル・パレスの同僚MFジェフ・シュルップやリース・ジェームズを中盤で起用する考えも過ぎったが、真ん中で様々なポジションを担えるユーティリティ性を重視。
広い肩幅に厚い胸板は、1対1でもそうそう負けない。チームでは主力ではなく、出場機会に恵まれていないが、あくまで生まれ持った、もしくはトレーニングで培った筋肉量が基準であり、ジェームズ・ミルナーやムサ・シソコらベテラン勢のカバーにも期待。
RWG:アダマ・トラオレ(ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ)
ほんとにウェイトトレーニングをしていないのか。アメフト選手にも引けを取らないムキムキの筋肉は、プレミアリーグのファン以外にも知っている人が多いだろう。一昨シーズンに大ブレークしたときのパフォーマンスは、すべての対戦相手を恐怖に陥れた。
動きも俊敏で、高いアジリティは見た目に相反する。キレッキレのドリブルで、スペースを与えれば一気に持っていかれてしまう。得点力に乏しいのが残念だが、サイドを駆け上がってからのクロスでのアシストは一級品だ。
CF:ロメル・ルカク(チェルシー)
まさに怪物。筋肉についての説明は不要だろう。右手だけでセンターバックを押さえ、インテル・ミラノで磨きをかけたポストプレーが冴え渡る。プレミアリーグではまだビッグゲームで決定的な仕事ができないものの、時間の問題のようにも思える。
対峙するディフェンダーは大変だ。押さえに行っても分厚すぎる上半身に阻まれ、足を出して取りに行けば、素早いターンで躱される。今回の選考で最初に頭に浮かんだ中のひとりであることは、言うまでもない。
LWG:マイケル・アントニオ(ウェストハム)
昨シーズンから急激に変わり始め、上位を狙えるチームとなったウェストハムの攻撃を司る。ひとりでセンターバックと対峙し、ボールを保持することもできれば、カウンター時にはスピードを持って攻め上がりそのままゴールも奪える。
受け継いだ筋肉質な肉体にも関わらず、抜群のスプリント力も持ち合わせる。上半身から太腿にかけての体躯は見事な筋肉で覆われており、テーマ通りにゴリゴリマッチョに分類される。ルカクとポジションを入れ替えながらも、ゴールを陥れるだろう。