EURO2020では優勝を果たしたイタリア代表だが、W杯欧州予選では苦戦を強いられた。スイス代表にグループ首位を明け渡し、プレーオフに回ることが決定。ポルトガル代表と同じ組になり、強豪同士の対決になるかと思われたが、意外な結果が待ち受けていた。
数多くのサポーターが詰めかけたホームスタジアムに、FIFAランキング67位の北マケドニア代表を迎えた一戦は、イタリア代表の勝利が予想された。試合序盤からパスを回して、攻め続けるイタリア代表は決定機を何度も迎える。
それでも、粘り強い守備を披露し、試合終盤まで走り切った北マケドニア相手に得点できずに、延長戦にもつれ込むように見えたが…FWアレクサンダル・トライコフスキが値千金の決勝ゴールを92分に奪い、劇的な勝利を手に入れた北マケドニア代表はポルトガル代表との対決に臨むことに。
この結果により、イタリア代表はEURO王者にも関わらず、2大会連続でW杯出場権を逃した。悲惨な結果を受け、かつてACミランやASローマなどセリエAの強豪クラブを率いた名将ファビオ・カペッロは、イタリアサッカーの戦い方の転換を求めた。
「イタリアサッカーは15年もの間、(ジョゼップ・)グアルディオラの真似をしてきた。」
「しかし、縦パスや体の強さがなく、チャレンジする習慣もない。我々はユルゲン・クロップのプレースタイルを見習うべきだろう。」
「イタリアでそれをやっているのはアタランタだけで、彼らの結果を見るべき。ヴィンチェンツォ・イタリアーノも似たようなことをやっているし、ジェノアのアレクサンダー・ブレシンもクロップ以上のものを提供してしている。ドイツの戦い方がモデルで、我々にはスペインの戦い方をするためのテクニックはない。」
「ヨーロッパの大会はハイペースで、我々はそれに慣れていない。」
「イタリアの若い選手は少ないが、その根底に間違った考え方がある。我々はGKへバックパスする国なんだ。」
「ビクター・オシムヘン、ロメル・ルカク、タミー・エイブラハムも海外では普通のストライカーだった。それでも、彼らはイタリアでチャンピオンになった。これには疑問を抱かざるを得ない。」
「ときどき、いくつかのスタッツを読んで驚かされる。あの選手は45本のパスを出したとして、キーパスがいくつあり、そのうち何本がチャンスにつながったのだろうか?」
Sky Sport Italia
長らくワールドカップの舞台から姿を消すことになったイタリア代表には、地の利を活かして勢いに乗ったEURO2020を忘れ、欧州予選という長期戦を勝ち抜く力強さを持つため、変革が求められることに。
セリエAの復興を期待している含みを持った元イングランド代表監督の発言に、イタリア代表だけじゃなく、国内リーグ全体が奮起できるか。実力を兼ね備えた選手も多いイタリア代表だけに、試合を勝ち切る勝負強さの再構築に取り組めるかが鍵になりそうだ…