2014年まで遡り、その夏にリバプールに加わった元バイエルンMFエムレ・ジャン。恵まれた体格に、ダイナミックなプレースタイルで中盤の底で活躍。時には、センターバックを務めるなど高い適応力も発揮し、ブレンダン・ロジャーズ監督やユルゲン・クロップ監督のもとでプレーし、アンフィールドで通算167試合に出場した。
ところが、契約延長交渉はうまく行かず、4年後の2018年には契約満了に伴い、フリートランスファーでユベントスに移籍。この時のメディカルチェックで甲状腺がんが見つかった同選手だが、当時を振り返り、みんなに定期検診を勧めている。
「甲状腺がんで緊急に手術を受ける必要があったんだ。」
「このことが僕の人生を大きく変えた。お金はたくさんあってもいいし、何でも手に入るけど、健康が一番大事なんだ。」
「これは人生の一部であり、すべての人に検診を受けることをお勧めしたい。人がどれだけ健康だと思っていても、これらのことが時間内にわかれば、行動することができる。」
「ユベントスの医師には本当に感謝している。」
「彼らはクラブでのメディカルチェックの2ヶ月後に電話をくれたんだ。甲状腺が何であるかも知らなかったし、自分が “がん” であることなど想像もしなかった。」
「トリノへの移籍は、このためだけでも価値があった。」
DAZN
無事に手術を終えた後、プレーには問題なかったが、イタリアでインパクトを残せず。わずか1年半の滞在で、たった45試合の出場に留まった。その後は母国ドイツに復活し、現在もプレーするボルシア・ドルトムントに移籍を果たした。
ドイツ代表でも37試合でピッチに立っているものの、ドルトムントでは徐々に出番を失っていく。今シーズンは18試合に出場しているが、その半分近くが途中出場。絶対的なスターターになりきれず、たびたび移籍の噂も飛び交っている。
年齢が29歳と、ここから飛躍的な成長は見込めない。それでも、中堅クラブであれば十分にレギュラーとして活躍できるだけに、毎年のようにポテンシャルの高い若き選手を獲得やアカデミーから昇格するドルトムントを離れる時期が近づいているのかもしれない。
いずれにしても、早めに発見できたからこそ、甲状腺がんを摘出し、ピッチに戻ることができたことは不幸中の幸い。異次元の運動神経を持つプロサッカー選手たちもあくまで人間であり、日々の健康管理や定期的な検査を受け、ピッチでは最高のサッカーを披露してもらいたい…