イングランド代表は右サイドバックの人材が豊富だ。カイル・ウォーカーやキーラン・トリッピアー、リース・ジェームズ、アーロン・ワン=ビサカと世界でもトップクラスの右利きサイドバックが揃い、ポジション争いは恐ろしく激しい。
リバプールDFトレント・アレクサンダー=アーノルドも競争に加わっていたが、稚拙な守備対応もあり、最近は代表を外れこともしばしば。カタールW杯はリース・ジェームズが離脱していたことでメンバーに選ばれたが、もしもチェルシーDFがいたら…選出されていたかは分からない。
クラブレベルでも簡単に裏を取られたりとまずい守備が目立っていたこともあり、攻撃性能を活かすためにも、昨シーズンの後半戦から偽サイドバックとして稼働。攻撃時にはさすがのビジョンとパスでチャンスを作り出し、中盤でのプレーは同選手を生まれ変わらせた。
リバプールではミッドフィルダーとして先発した経験はないが、イングランド代表直近の2試合で中盤起用され、右足から繰り出される多彩なパスで局面を打開し、評価が高まっている。
元リバプール “兼” 元イングランド代表DFジェイミー・キャラガーも中盤でのプレーを絶賛し、ベリンガムやライスに並ぶミッドフィルダーであると発言した。
「ここ数試合、彼(アレクサンダー=アーノルド)は代表に何かを与えていると思う。たしかに、対戦相手は来夏の欧州チャンピオンズで優勝を狙うイングランドが戦うような相手ではない。」
「しかし、イングランドにおいて、彼にとってベストなポジションなんだ。ガレス・サウスゲートが、過剰な競争を避けるためにも、彼を右サイドバックに起用しないことは分かっているからね。」
「いまは、ジュード・ベリンガム、デクラン・ライス、そしてトレントが中盤の3枚看板だろう。」
「イングランドは今後、ガレス・サウスゲートが中盤の構成を検討することになるだろう。」
「リバプールでのポジションにどう影響するかという点で、また新たな議論が始まると思う。」
「彼はサイドバックとセントラルMFのハイブリッド的な役割を担ってきたし、セントラルMFに秀でているね。」
BBC Radio 5 Live
ジョーダン・ヘンダーソンは代表引退が近づいており、メイソン・マウントはチェルシーで苦しんでいる。カルヴィン・フィリップスもマンチェスター・シティで出番を得られておらず、他の若手選手もブレイクまで至っていない。
そうした状況において、突如として登場したトレント・アレクサンダー=アーノルドの中盤起用。サウスゲート監督はもちろんだが、ユルゲン・クロップ監督も良い意味で頭を悩ませることになるかもしれない…