遡ること2011年の夏、サンダーランドからリバプールに加入した若武者ジョーダン・ヘンダーソン。鳴かず飛ばずの日々に、ブレンダン・ロジャーズ政権下では放出候補にも挙がるほど、チーム内で絶対的な存在にはなりきれなかった。
しかし、キャプテンマークを引き継ぎ、ユルゲン・クロップ監督の就任で状況は一変。代名詞ゲーゲンプレスの申し子として終始激しいプレスを怠らず、中盤の要に定着。類稀なるリーダーシップはピッチ内外で発揮され、チームを数々のタイトルに導いた。
2015年からともにチームをまとめ上げ、ライバルたちよりも少ない資金の中で、毎シーズンのようにプレミアリーグの優勝争いを繰り広げた。ところが、昨夏の移籍市場において、出場機会が減少を危惧したイングランド代表MFは、サウジアラビアに新天地を求めた。
中東での生活に馴染めずに、わずか半年でアヤックスに完全移籍。昨シーズン限りで袂を分ったドイツ人指揮官だが、56歳監督も今シーズンが終了次第、約10年近く在籍したアンフィールドから離れる。
ともに戦い、ともに優勝の味を分かち合ってきた指揮官の退任について、元リバプールのキャプテンは言及。かつてのチームメイトたちの戦いぶりにも触れつつ、最後のシーズンに多くのタイトルを獲得して欲しいと胸の内を明かした。
「最初はつらかった。ユルゲンはリバプールで素晴らしい時間を過ごしたからね。」
「僕らが成し遂げたことはすべて彼のおかげだ。彼が来たことですべてが変わったし、僕はただ、物語の最後が彼と選手たち、そしてクラブにとっておとぎ話のようなものになることを願っている。」
「彼らは皆、懸命に働いている。昨シーズンは、グラウンドの外でも、グラウンドの中でも、いろいろな面でとてもタフだった。だから、今シーズンがこれほどうまくいっているのは、彼らのおかげだ。」
「僕はそこで長い間キャプテンを務めたし、チームのみんなは今でも親友だ。本当に生涯の兄弟のように思っている。」
「若い選手たちが入ってくる中で、彼らが1年を通して戦ってきたようにシーズンを終えるのを見たいんだ。シーズンを最高の形で終えて、できるだけ多くのトロフィーを獲得してほしい。」