ユルゲン・クロップ政権下において、不安定だったディフェンス陣を立て直したのが、サウサンプトンから加入したオランダ代表DFフィルジル・ファンダイクだ。圧倒的なリーダーシップで最終ラインを統率する一方で、対人守備でも簡単に負けず、プレミアリーグでも屈指の守備陣を築いた。
さらに、前線への正確なフィードで一気に攻撃に転じるキッカケをチームにもたらし、コーナーキックでも最大の脅威として数々のゴールを決めてきた。32歳になったいま、キャプテンも任され、今シーズンは全盛期に近いパフォーマンスを披露してみせた。
しかし、契約期間は2025年6月と残り1年に迫っており、その去就に注目が集まっている。スペイン紙『Marca』によれば、サウジアラビアのアル・ナスルが獲得を狙い、同選手の代理人に接触しており、世界中のディフェンダーにおいて最も高い給与のオファーを提示したようだ。
オイルマネーという巨万の富をバックに、世界のサッカー界からネームバリューのある選手を次々に獲得してきたサウジ・プロフェッショナルリーグ。アル・ナスルはクリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネ、マルセロ・ブロゾヴィッチらを擁する。
一方で、ジョーダン・ヘンダーソンのようにすぐにヨーロッパ復帰を果たす、もしくは希望する選手も少なくない。条件面だけで言えば、かつての中国のように魅力的なリーグだが、生活環境やリーグレベルは大きく異なるため、合う合わないは激しそうだ。
リバプールはオランダ代表DFとの契約延長に動く予定で、2025年以降もアンフィールドに残留させたい意向を示している。今夏での退団を許容するとも思えず、来季も主軸を務める32歳センターバックだけに、プレー時間を求めて移籍希望を出すこともないはず。
いずれにしても、ディフェンスリーダーが今夏でアンフィールドを離れる未来は考えにくく、アルネ・スロット新監督との新シーズンでの活躍に期待してしまう…