アルネ・スロット監督はポゼッションを重視するサッカーへの移行を希望し、その中核となるテクニカルな守備的ミッドフィルダーを求めたリバプール。様々な能力で完璧にフィットしたのが、レアル・ソシエダMFマルティン・スビメンディで、獲得に向けて猛プッシュを続けた。
途中にはリバプール移籍が迫っているとも報じられたが、最終的には子供の頃から在籍するクラブに留まることを決意。イングランドのクラブ側との話し合いの時には移籍に傾いていた25歳MFだが、ソシエダの強硬かつ技巧なアプローチが盤面をひっくり返したと、英『The Times』ポール・ジョイス記者が伝えた。
「7月末、アンフィールドから2人の代表者がサン・セバスティアンに向かい、アーセナルとバイエルン・ミュンヘンからの誘いを断ったことのある選手が、12歳で入団したバスクのクラブを離れてもいいという約束を取り付けた。」
「ミーティングは一日中続き、選手の代理人であるイニャキ・イバニェスも参加し、マルティン・スビメンディのリリース条項である6000万ユーロが一括で支払わなければならないにせよ、取引は可能であると当事者は信じて帰路についた。」
「彼ら(ソシエダ側)は、クラブがリバプールと合意に至るのではなく、スビメンディ自身がリリース条項を発動しなければならないと通達した。」
「言い換えれば、彼は自分にとって “すべて” を意味するクラブから、祝福されて堂々と出て行きたかったのに、無理やり出ていかなければならないということだ。」
アカデミー時代も含めて、プロデビューもすべてがラ・レアルのスペイン代表MFにとって、愛するクラブと喧嘩別れのような状況を避けたいのは当たり前で、良く言えば選手側の気持ちを理解した、悪く言えば選手のステップアップを応援できない説得方法だったようだ。
レアル・ソシエダにとっては何を言われようとも結果オーライ。主力の引き止めに成功した一方で、リバプールは頭を悩ませる展開に。今後は守備的ミッドフィルダー確保に動く可能性は低いが、補強はまだ終わっていない。
はたして、リバプールは移籍期限が迫る中、マンチェスター・シティやアーセナルとの差を埋める選手獲得を成功させることはできるのか…?