リヨンのアカデミーが誇る逸材、21歳MFラヤン・シェルキ。今季は公式戦43試合で12ゴール19アシストを記録し、合計31ゴールに関与。ヨーロッパのトップ5リーグにおいて、U-21選手として最多のチャンス創出を誇るなど、スタッツ面でも際立つ存在だ。
とりわけ注目すべきは、90分あたりのアシスト数、キーパス、ドリブル成功数、プログレッシブパスなど、攻撃的指標の多くで90%を超えるパフォーマンス。テクニックに優れ、独創的で大胆なプレースタイルは、試合の流れを一瞬で変えることができる。
この夏の移籍市場が迫る中、シェルキは一躍ホットな存在となっている。圧巻の攻撃力と創造性、そして比較的安価なリリース条項により、プレミアリーグの複数クラブが関心を寄せているが、特にリバプールは本格的な動きを見せている。
昨夏のマーケットにおいてはパリ・サンジェルマンやボルシア・ドルトムントへの移籍話が浮上するも、交渉は最終段階で破談。今年はイングランドからの関心が際立っており、リバプール、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティがアプローチを開始。 フランス紙『Le Parisien』によると、リバプールは正式な問い合わせを済ませ、移籍交渉を進めており、動きを加速させているようだ。
リバプールのスポーツディレクター、リチャード・ヒューズは財政バランスを維持しながら補強を進める難題に直面しているが、2250万ユーロのリリース条項は魅力度満点。しかも21歳という年齢も、将来性と即戦力の両方を求めるクラブ方針と一致している。
ただし、アルネ・スロット監督が求めるプレースタイルに適応できるかどうかは疑問が残る。イングランドI-21代表MFハーヴェイ・エリオットは攻撃的MFのポジションで苦悩しており、より大柄で、走力と運動力のあるドミニク・ソボスライやカーティス・ジョーンズに遅れを取っている。
エジプト代表FWモハメド・サラーの背後など幅広いエリアをカバーしなければならないポジションdけに、エリオットも適応に苦戦。同じくプレーメーカータイプのシェルキに同じタスクを与えるのはエリオットの二の舞になるため、もしも獲得するには活かし方を熟考しないといけない。
破格のリリース条項とリヨンの台所事情が相まって、今夏の移籍市場で最も注目を集める若手のひとり、ラヤン・シェルキ。はたして彼の次なる舞台は、アンフィールドとなるのか。それとも別のクラブが先手を打つのか。