2022年夏、ベンフィカから移籍金最大8500万ポンドで加入したダルウィン・ヌニェス。鳴り物入りでアンフィールドの地を踏んだストライカーは、プレミアリーグでセンセーションを巻き起こすことが期待されていた。
しかし、在籍3年で記録したのは公式戦140試合で40ゴール26アシスト。数字だけ見れば一定の結果を残したが、決定力不足や波のあるパフォーマンスは、前線からの激しいプレッシングやパッションを上回ることなく、ファンの心を完全に掴むには至らなかった。
とりわけアルネ・スロット体制の今シーズンは厳しい。1月以降は国内リーグ戦での先発出場がわずか1試合にとどまり、スタメンに選ばれたのも圧倒的な最下位に沈むサウサンプトン戦だった。
クラブ史上屈指の移籍金に見合う活躍とは言い難く、オランダ人指揮官の構想外であることが浮き彫りとなっている。移籍市場の信頼筋であるファブリツィオ・ロマーノ氏も、「ヌニェスはリバプールでの時間を終え、新たなチャプターへ進む準備ができている」と発言しており、今夏の退団は既定路線と見られている。
アンフィールドで苦戦するウルグアイ代表FWダルウィン・ヌニェスに、まさかの南米移籍が浮上。海外メディア『DSports』は、リーベル・プレートが25歳のストライカーに関心を示しており、すでにオファーが出されたとも伝えている。
南米復帰は欧州でプレーするトップ選手にとってステップダウンに見えるかもしれない。ただし、リーベル・プレートは今夏アメリカで開催されるFIFAクラブワールドカップに出場予定。世界中の注目が集まる舞台で戦えるという魅力は、ヌニェスにとっても無視できない要素かもしれない。
問題となり得るのは、金銭面だ。ヌニェスの週給は14万ポンドとされており、アルゼンチンのクラブがこの額を全額負担するのは極めて困難。リーベルは年俸問題をクリアできると主張しているが、レンタル移籍となればリバプール側が一部を補填する可能性も取り沙汰されている。
アトレティコ・マドリード、アーセナル、ニューカッスル、ACミランらヨーロッパ組に加えて、サウジアラビアも熱視線を送っているだけに、財政面で弱い立場にあるアルゼンチンのクラブが争奪戦を優位に進めるのは難しい。
この移籍報道には、もうひとつ、裏のストーリーが隠れている。リーベル・プレートには現在、リバプールが強い関心を寄せている弱冠17歳の逸材、フランコ・マスタントゥオノが在籍している。
“世代最高のタレント”とも評されるこの若き司令塔には、レアル・マドリードやパリ・サンジェルマンなども関心を示しており、獲得レースは非常に熾烈。そこで注目されているのが、ヌニェスの移籍。交渉の切り札として譲渡することで、マスタンツォーノ獲得レースで優位に立とうとする思惑があるとも噂されている。
ダルウィン・ヌニェスの移籍は時間の問題とされており、ヨーロッパか中東のどちらかに行く可能性が高い。急転直下で南米行きを選択する、もしくは所属クラブが容認するとは思えないが、どのような決着を迎えるのだろうか…?
