アルネ・スロットのもとで大きな変革が進むリバプール。来季のチームビルディングにおいて、その渦中にあるのがハーヴェイ・エリオットだ。わずか22歳のイングランド人MFが、今夏の移籍市場で新天地を求める可能性が日に日に高まっている。
2023-24シーズンは公式戦53試合に出場し、4ゴール11アシストと着実な成長を見せたが、今季はその立場が激変。プレミアリーグ王者となったスロット体制下で、出場時間は822分、先発はわずか6試合に留まった。
背景には、オランダ人指揮官が志向する戦術スタイルの転換がある。よりダイナミックな縦への推進力を重視する中で、ポゼッションとリズムで勝負するエリオットのプレースタイルは、現行システムとややかみ合わない。ジェレミー・フリンポンやミロシュ・ケルケズといったスピード感ある補強が進むなかで、序列はさらに厳しさを増している。
そして決定打となったのが、クラブ史上最高額1億1600万ポンドで獲得されたフロリアン・ヴィルツの加入。バイエル・レバークーゼンから引き抜かれたドイツ代表は、エリオットと同じく攻撃的なミッドフィルダー。事実上のポジション争いは、すでに決着がついているようにも映る。
海外メディア『CaughtOffside』によれば、チェルシーがこの若きタレントの獲得に動いており、他にもブライトンやアストン・ヴィラ、ニューカッスルらイングランド勢に加えて、ブンデスリーガからボルシア・ドルトムントも動向を追っているようだ。
中でも最も積極的な動きを見せているのがブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンだ。同クラブはエリオットを「今夏の最優先ターゲット」と位置づけ、4000万ポンドのオファーを準備していると報じられている。
彼らはレギュラー出場を保証できるうえ、元リバプールのベテランMFジェームズ・ミルナーの存在も、エリオットにとっては心強い要素となるだろう。
一方でリバプール側は、エリオットの評価額を5000万ポンドに設定しており、金額面での交渉がひとつの焦点になる。市場動向からしても、4000万ポンドという提示は控えめとの声も少なくない。チェルシーからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したメイソン・マウントが残り契約1年で6000万ポンドの値をつけた例があるだけに、リバプールが強気に出るのも頷ける。
一方、チェルシーの関心については疑問の声も上がる。すでに中盤に多くのタレントを抱えるブルーズが、なぜあえてエリオットにアプローチするのか。その目的が中核を再構築するための一手なのか、あるいは単なるオプション追加に過ぎないのかは不透明。
果たしてリバプールは、16歳の頃から丁寧に育てたタレントをこの夏、手放すことになるのだろうか…?
