昨夏にユベントスからリバプールへ加入したフェデリコ・キエーザの去就は、シーズン中から話題に挙がっている。その理由は明白で、プレミアリーグで初挑戦は失敗に終わり、積極的な補強を繰り返す中で、レギュラーの座を掴み取る可能性が日に日に減少しているためだ。
プレシーズンではセンターフォワードとして起用されたものの、アルネ・スロット監督の構想外とされ、すでに今夏のアジアツアー招集メンバーからも外れている。レッズでのキャリアは、わずか1年で幕を閉じることになるかもしれない。
1997年生まれのイタリア代表ウインガーは、2024年の夏に総額1500万ユーロのパッケージでアンフィールドにやってきた。だが、その期待とは裏腹に、公式戦出場は14試合。得点は国内カップで記録したわずか2ゴールにとどまっており、イングランドでの挑戦は物足りないものに終わった。
イタリア紙『Calciomercato』は、そうした状況を受け、キエーザは母国セリエAへの復帰を強く望んでいると報じ、イタリア国内の複数クラブが関心を示しており、各クラブの事情とともにその可能性に触れている。
キエーザ獲得に本腰を入れる可能性があるのは、まずはアントニオ・コンテ率いるナポリだ。すでにロレンツォ・ルッカやノア・ラング、さらにはケヴィン・デ・ブライネなどを加えた補強を進める中、攻撃の幅を広げる人材としてキエーザにも注目している。
ダン・エンドイェやアデモラ・ルックマンらにも関心を示す一方で、競合の存在や交渉の難航もあって、新たなターゲットとしてリストアップされている様子。
次に浮上するのは、ミラン。ユベントス時代にキエーザを指導していたマッシミリアーノ・アッレグリが新監督に就任したことで、再会の可能性が現実味を帯び始めた。
ラファエル・レオンやクリスチャン・プリシッチ、サムエル・チュクウェゼといったアタッカー陣との併用も視野に入っており、ノア・オカフォーの去就次第では即戦力としての期待も高まる。アッレグリの下で自信を取り戻すことができれば、ミランは理想的な環境となるかもしれない。
さらに、指揮官交代でチーム作りが加速するローマも、移籍先候補として浮上している。ガスペリーニ新監督はアタランタ時代と同様の3-4-2-1をベースに据えると見られ、トレクァルティスタの一角としてキエーザの獲得を望んでいるとの声も挙がっている。
一方で、かつて関心を寄せたインテル・ミラノやユベントスは、現時点で慎重な立場を取っている。インテルでは、クリスティアン・キヴ新監督の下で3-4-2-1への移行が進んでおり、キエーザのようなタイプの起用法にも一定の適性はある。ただし、同クラブの最優先ターゲットはあくまでアタランタ所属のルックマンであり、キエーザへの関心は今のところ限定的とされる。
古巣ユベントスへの復帰についても、現実的とは言い難い。2024年の時点でクラブを離れて以降、イゴール・トゥドール新監督に変わったとはいえども、復帰の道は現実的ではない。
また、マンチェスター・ユナイテッドで戦力外のジェイドン・サンチョ獲得に迫っているとの報道も出ており、さらに現実味は薄いと言わざるを得ない。
キエーザのイングランド挑戦は、期待された輝きを放つことはなかった。だが、その才能はまだだまだ健在。年齢も27歳。再び母国に戻ることで、かつての輝きを取り戻す可能性は十分にある。ナポリ、ミラン、ローマといったクラブの関心が具体化すれば、移籍市場終盤で一気に動きが加速するかもしれない…
