この夏の移籍市場で最も驚きを与えた移籍劇とも言えるドイツ代表MFフロリアン・ヴィルツのリバプール加入。クラブの歴史史上で最も高い移籍金もその要因のひとつだが、それ以前に多くの人々が22歳MFはバイエルン・ミュンヘンに移籍すると思われていた。
他にもマンチェスター・シティへの加入なども噂もされており、資金力や信憑性という観点で、ドイツ王者にステップアップし、ドイツ代表の同僚であるジャマル・ムシアラと共存するものと見られていたが、事態は急転直下の展開を迎えた。
まさのリバプール移籍が発表されると、KOPたちは狂喜乱舞。ブンデスリーガで2年連続で二桁得点に加えて、二桁アシストを記録した現代を代表する攻撃的ミッドフィルダーがアンフィールドで、そのクリエイティビティや決定力を発揮することが期待されている。
バイエルン・ミュンヘンとのやり取りも非常に親密なもので、獲得に懸命に動いていた。リバプールもまた同じく懸命なアプローチを行っていた。
ドイツ代表MFの父親であり、代理人も務めるハンス・ヨアヒム・ヴィルツ氏は、22歳の息子のイングランドへの移籍劇の舞台裏を言及すると、アルネ・スロット監督のプレゼンが決定打になったと明かした。また、年齢的にも海外でのチャレンジに適しているとも語った。
「いくつかのクラブが興味を示していたが、最終的にバイエルンとリバプールだけが本命だった。」
「最終的に決めるのはフロリアンだから、約束はできない。独『BILD』がバイエルン入りを報じた時点では、まだオープンだった。ウリ・ヘーネスとカール・ハインツ・ルンメニゲが信じられないような働きをしてくれたし、スポーツの可能性を明確に分析してくれた。」
「ヘーネスとは以前にも何度か話をしたことがあったので、私が知っている限り、彼は客観的で公正だった。しかし、もちろん彼は失望を隠せなかった。結局のところ、彼は個人的にこの移籍に多くの労力を費やしていた。」
「フロリアンの気持ちは理解できたし、私たちも彼を完全にサポートした。リバプールと極秘会談を行った木曜日に期限を決めた。私たち3人は同じ認識を持っていたので、一緒にリバプールに移籍する決断をした。フロリアンは、海外移籍を個人的にもスポーツ的にも新たな挑戦ととらえ、リバプールを選んだ。我々はその考えを共有していた。」
「アルネ・スロットとの会話は決定的だった。彼はスポーツのレベルでフロリアンを説得することができた。また、とても感じのいい人だ。フロリアンの最高のコーチはいつも、彼に多くの自由を与えてくれる人たちだった。」
「そして、最も共感できる人たちもフロリアンにたどり着いた。イングランドのサッカーはペースとダイナミズムに富んでいる。アルネ・スロットは、彼のプレー哲学、ポゼッションとプレッシングにおけるチーム戦術、そしてフロリアンがその中でどのように長所を伸ばすことができるかを説明した。」
「それはフロリアンに決定的な印象を与えた。リバプールでのトレーニング環境も、非常に印象的だった。それに、フロリアンは今、海外移籍に適した年齢だ。家庭を持ったら、もう自立はできない。」
「ヴァンサン・コンパニもまた、フロリアンをバイエルン・ミュンヘンのチームにどのように溶け込ませるかについて、非常に良い考えを持っていた。結局、最終的に決断を左右したのは、スポーツの状況やフロリアンの役割の違いによるニュアンスの差異だった。」
「財政的にも、両クラブに大きな違いはなかった。もう一度言う。バイエルン・ミュンヘンは本当に懸命に努力したが、決断せざるを得なかった。」
Der Spiegel
巨額の移籍金には、プレッシャーも付き纏う。それを跳ね除けるだけの能力やポテンシャルを持っているものの、プレミアリーグ開幕戦から実力をフルで発揮するのは難しいかもしれない。
とはいえ、バイエル・レバークーゼンで同僚であり、仲も良いオランダ代表DFジェレミー・フリンポンも今夏リバプールに加入。チームメイトとはこれから仲を深めていくことになるが、ドイツ語を話す選手も少なくなく、溶け込むのは時間の問題だろう。
いずれにしても、攻撃面での存在感を発揮することが求められるヴィルツだが、アンフィールドではどのようなキャリアを歩むのだろうか…?
