リバプールのアカデミー出身者として長年期待を背負い続けてきたタイラー・モートンが、ついに運命の決断を迫られている。英『The Athletic』の最新報道によると、オリンピック・リヨンが22歳のミッドフィールダーに関心を示しており、フランスへの移籍を歓迎しているようだ。
今夏のU-21欧州選手権でイングランド代表の優勝に貢献したモートンにとって、現在の状況は複雑だ。アルネ・スロット新監督の下、リバプールはアレクシス・マック・アリスター、ライアン・フラーフェンベルフ、カーティス・ジョーンズ、ドミニク・ソボスライ、そして遠藤航といった豊富な中盤の選択肢を抱えている。
リヨンはすでにリバプールに接触を図り、モートンへの関心を明確に示している。パウロ・フォンセカ監督率いるリヨンにとって、中盤の若返りは急務。ジョーダン・ヴェレトゥゥがアル・アラビに、ジョアン・ルプナンがナントに売却された今、36歳のネマニャ・マティッチと間もなく31歳になるコランタン・トリッソに頼り続けるわけにはいかない。
モートンがこの移籍を前向きに捉えている理由は明白。リバプールでは限られた出場機会しか得られないが、リヨンでは主力として期待される。ヨーロッパリーグでの戦いも待っており、22歳の若手にとってはキャリアを大きく飛躍させる絶好の機会となる。
イングランドU-21代表MFはこの移籍をキャリアの進展の機会と捉えており、その積極的な姿勢が移籍実現への大きな推進力となっている。
しかし、移籍実現への道のりは決して平坦ではない。モートンは約2000万ポンドの評価を受けているとされる一方で、英『The Times』の報道では、リヨンの初回オファーはリバプールが設定する1000万ポンド以上という最低ラインを下回っているという。この金額の隔たりが、今後の交渉の焦点となることは避けられない。
リバプール側の思惑も複雑だ。モートンはアカデミー出身の生え抜き選手であり、売却益は純利益として計上される。ファイナンシャル・フェアプレー規則の観点からも、モートンの売却は魅力的な選択肢だ。
さらに、現在最終契約年に入っているモートンを今夏に売却すれば、来年のフリートランスファーによる完全な損失を避けることもできる。
一方のリヨンにとって、モートンの獲得は戦術的にも財政的にも理にかなっている。U-21欧州選手権での実績を持つ22歳のミッドフィールダーを比較的安価で獲得できれば、中長期的な投資として大きなリターンが期待できる。フォンセカ監督の戦術システムにおいて、モートンの持つパスセンスとフィジカルの強さは重要な武器となるはずだ。
モートンのキャリアを振り返れば、ブラックバーンやハル・シティでのローン経験を通じて着実に成長を遂げてきた。しかし、リバプールというメガクラブの中では、その才能を十分に発揮する機会に恵まれなかった。リヨンという新天地で、この22歳の逸材がどのような化学反応を起こすのか。移籍交渉の行方とともに、サッカーファンにとって注目すべき物語が展開されようとしている。
