オランダ代表DFフィルジル・ファンダイクとともに、リバプールの最終ラインを鉄壁に変えるのが、フランス代表DFイブラヒマ・コナテ。いまや世界を代表するセンターバックに変貌を遂げ、アルネ・スロット体制でも主力の座を譲っていない。
だが、今、その去就に暗雲が立ち込めている。レアル・マドリード、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、そしてバイエルン・ミュンヘンといった欧州のジャイアントたちが強い関心を示している。
すでに彼の代理人はこれらクラブと水面下での接触を行ったとの報道も出回っており、来夏にはフリートランスファーでの移籍が可能となることから、各クラブは虎視眈々とその動向をうかがっている。
しかし、リバプールも簡単には26歳のフランス人DFイブラヒマ・コナテを手放すつもりはない。英『Rousing The Kop』によると、すでに複数回オファーを提示してきたものの、コナテ側はこれまでそれらを拒否してきたが、リバプールがふたたび交渉の席に戻る用意があるようだ。
問題になり得るのは、給与水準。コナテは、自らがプレミアリーグの中でも最高クラスのセンターバックであり、それに見合う報酬を受け取るべきだと強く主張。同紙が伝えたところによれば、「リーグ屈指の高給取りのひとりであるべき」という自負が、これまでの交渉を膠着させてきた最大の要因となっていた。
プレミアリーグ2024-25シーズンでは、リバプールが8年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたが、その守備の中核にいた。特に空中戦での強さと、スピードとパワーを兼ね備えたリカバリー能力は、カウンターへの即時対応において欠かせない。 ディフェンダーでありながら、相手の縦パスに対してインターセプトのタイミングが絶妙で、1試合平均2.1回のブロックはチーム最多だった。
一方で、クラブの編成部門も手をこまねいているわけではない。マイケル・エドワーズとリチャード・ヒューズという“戦略家”コンビが主導する今夏の移籍マーケットでの動きは、実に目覚ましいものだった。
フロリアン・ヴィルツ、ウーゴ・エキティケ、ジェレミー・フリンポン、ミロシュ・ケルケズ…いずれも戦術的な意味と将来性を両立させた補強だ。とりわけヴィルツの獲得は、既存の中盤と前線のラインを流動的に接続させる役割を果たすだろう。
さらにその動きは加速している。リバプールはジャレル・クアンサーの後釜として、より若く、かつ将来性のあるセンターバックの補強を優先課題としている。センターバック陣に厚みをもたせ、ポジションごとの競争環境を高め、コナテ自身にも良い刺激を与える狙いがある。
一方で、クリスタル・パレスのキャプテン、マルク・グエヒの名もリストに上がっている。プレミア屈指の対人守備能力と冷静なビルドアップを兼ね備えた逸材だが、この夏の移籍は現実的ではない。レギュラーの座を求めるイングランド代表DFにとって、絶対的な先発のコナテが残留となれば、移籍に魅力を感じなくなる可能性もある。
リバプールがコナテとの新契約を勝ち取れれば、ファンダイクの後任としても、最終ラインの中心として活躍が期待できる。逆に、交渉が決裂し、来夏に彼をフリーで失うような事態となれば、その代償は大きい。
現時点でも最も現実味のあるレアル・マドリード行きとなれが、トレント・アレクサンダー=アーノルドと2年連続で主力を奪われる形になり、因縁が深まる。
イブラヒマ・コナテは赤いユニフォームを身にまとう未来を選ぶのか、それとも欧州の強豪へと羽ばたいてしまうのか…?
