マルチクラブ・オーナーシップ構築狙うFSG…ヘタフェ買収で、ラ・リーガ参入なるか

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ボストン・レッドソック、リバプールFCとスポーツビジネスで成功を収めるフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)の次なる一手は、「マルチクラブ・オーナーシップ」だ。フットボール部門のを統括するマイケル・エドワーズの任務のひとつとも言われ、これまでもいくつか買収の噂が出てきた。

フェンウェイ・スポーツ・グループは、すでに欧州サッカー界で確固たる影響力を持ちながらも、さらに広範なフットボールネットワーク構築に乗り出している。リバプールの競争力を高めつつも、サッカービジネスでさらなる成功を手にすることが目的となる。

この構想の最前線に浮かび上がってきたのが、スペインの中堅クラブ、ヘタフェ。現在、FSGはこのラ・リーガ所属クラブの買収交渉を進めており、エドワーズ率いる戦略的布陣がその交渉にあたっていると、英『The Athletic』が報じた。

2024年3月にマイケル・エドワーズがFSGのフットボール最高経営責任者に就任して以降、組織は明確に「マルチクラブ・オーナーシップ」へと舵を切った。これはマンチェスター・シティを擁するシティ・グループに代表されるような、グローバル展開型の運営モデルであり、FSGが描くフットボール帝国の中核を成す。

その戦略の実行段階に入った象徴が、ヘタフェとの段階的買収交渉である。報道によれば、FSGは現在、ヘタフェの会長アンヘル・トーレスと、まずは少数株主として参入し、徐々に経営権を握る形での「段階的買収」に向けた交渉を進めている。

買収対象としてのヘタフェは、地理的にも戦術的にもFSGの意図と合致する。スペインリーグにおける中堅クラブであり、若手の実戦投入に対する柔軟性があり、18歳未満の国外選手や英国の労働許可証を取得できないタレントの育成・運用においてリバプールと連動するメリットが期待されている。

また、選手のサテライト運用も視野に入る。将来的にアンフィールドでプレーさせたい若手が、まずはヘタフェでプロ経験を積む。この二段構えの育成とスカウティングは、クラブ間の連携が不可欠となる。

この買収をめぐっては、クラブ会長アンヘル・トーレスの発言と報道との間に齟齬が見られる。トーレスはスペインのラジオ局COPEのインタビューで「売却の意思はない」と述べているが、裏では明確に交渉が進行中であることが複数のメディアで確認されている。

トーレスの真の関心事は、2028年までに進められている新スタジアム建設プロジェクトの完了だ。彼はその節目でクラブを去る意思を持っており、その後任に適任者を据えたいという希望を公言している。

つまり、FSGがトーレスの計画に合わせて段階的に資本を投入するという形であれば、実質的な承認は得られているとも解釈できる。

実際、当初1億6000万ポンドとされたクラブ評価額は、現在では1億ポンド程度にまで下げられており、これは現実的な交渉フェーズに入った証拠だろう。

FSGにとっては、過去に試みて失敗したマラガやボルドーの買収から学びを得ており、今回の交渉はより慎重かつ段階的に進められているのが特徴だ。ボルドーの場合、DNCG(フランスの財務監査機関)による制裁で3部降格という不安定な要素が障壁となった。一方のヘタフェは、財務面でもスタジアムプロジェクトでも、比較的安定しており、長期的なビジョンに合致する。

FSGのマルチクラブ・オーナーシップは、グローバル戦略の枠に収まるだけではなく、リバプールFCというクラブの未来を守るための、極めて実利的な手法だ。グローバルマーケットでの選手争奪戦が激化するなか、若手タレントを早期に囲い込み、実戦経験を積ませ、最適なタイミングでアンフィールドへ送り込む。この一連の流れを自社内で完結できることこそ、現代サッカーにおける競争力の源泉である。

ヘタフェがこのシステムの一翼を担うことになれば、リバプールは今後、より柔軟かつ持続可能なチーム運営を実現できるだろう。これは、プレミアリーグを制するための道であると同時に、欧州全体でのプレゼンスを強化する布石でもある。

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