2021年9月、ノリッジ・シティ戦でのトップチームデビューを皮切りに、タイラー・モートンは着実にステップを踏んできた。チャンピオンズリーグではポルトやミランを相手に堂々たるプレーを披露し、期待値は一時急上昇。しかし、競争の激しい中盤で地位を確立するには至らなかった。
レンタル先であるブラックバーン・ローバーズ(2022-23)とハル・シティ(2023-24)では、守備的MFとしてのポジショニングとボール配給能力を磨き、どちらのクラブでも主力として活躍。だがアルネ・スロット監督が就任した2024-25シーズン、出場はわずか5試合にとどまった。
U-21欧州選手権の優勝にも貢献したイングランドU-21代表MFは、プレシーズンでもプレーしていたものの、当初から放出候補筆頭であった。そして、今回はレンタルではなく、完全移籍で次なるクラブが決定した。
英『Liverpool Echo』によると、リバプールとフランスの名門オリンピック・リヨンは、タイラー・モートン売却において合意。総額は1500万ポンドで、達成可能なアドオンと20%のセルオン条項も含まれているようだ。
リバプールに留まってもそこに待ち受けているのは熾烈なポジション争い。アレクシス・マック・アリスターやドミニク・ソボスライ、ライアン・フラーフェンベルフ、遠藤航ら実力者がひしめく中、モートンが定位置を掴むのは酷な話。今回の移籍劇は若手MFにとって大きなチャンスになる。
オリンピック・リヨンは今、再生の途上にある。財政難の影響を受け、6月には一時的にリーグ2への降格を宣告されるなど、クラブ運営に揺らぎが生じた。しかし、7月には控訴が認められ、リーグ・アンへの残留が確定。この混乱の最中で、クラブは静かに中盤の再編に着手していた。
興味深いのは、リヨンのこの動きに対して、チャンピオンシップのイプスウィッチ・タウンを含む他クラブも関心を寄せていたが、最終的にリヨン以上のオファーは提示されなかったという点。つまり、フランスの名門が見せた熱量こそが、この移籍を実現させた鍵となった。
イングランドから海を渡る22歳のMFは、リヨンにおいて未来の軸として据えられる可能性が高い。クラブの現状を踏まえれば、即戦力としての起用が想定され、リーグ・アンのフィジカルな戦いにも適応できれば、爆発的なブレイクも十分視野に入る。
フランスという新たな国で、新たなサッカーにチャレンジするモートンは、リーグ・アンで成長を収め、将来的なリバプール復帰することはできるのか…?
