今夏の移籍マーケットも終盤に差し掛かっている中、ひとつの駆け引きが熾烈な様相を呈している。クリスタル・パレスDFマルク・グエイを巡って、個人条件では既に合意に達していたはずのリバプールだが、移籍金の最終的な詰めで暗礁に乗り上げ、その隙を突く形でスパーズが電撃参戦を目論んでいる。
海外メディア『ESPN』が報じたところによれば、リバプールは3000万ポンドに500万ポンドのアドオンを加えた提示を行っているが、パレスが要求する4000万ポンドとの間に開きが生じている。この膠着状態こそが、トッテナムにとって千載一遇のチャンスとなっている。
マルク・グエイの真の価値を測る上で、彼の実績と年齢は重要なファクターとなっている。7月に25歳になったばかりのイングランド代表センターバックは、パレスで着実にキャリアを積み重ね、今や同クラブの守備の要として君臨している。
プレミアリーグ王者リバプールのアルネ・スロット監督にとって、グエイの獲得は守備陣の世代交代を見据えた重要な補強となる。すでにパルマからジョヴァンニ・レオーニを獲得したものの、18歳の彼はまだ将来性に賭ける側面が強い。即戦力として計算できるグエイの存在は、チャンピオンズリーグを戦う上で欠かせない戦力となる。
また、ジャレル・クアンサーをバイエル・レバークーゼンに放出し、イブラヒマ・コナテは契約更新問題の真っ只中。ジョー・ゴメスは負傷でいつ離脱する分からず、フィルジル・ファンダイクも34歳とキャリアの終盤を過ごしている。
アルネ・スロット体制でセンターバック陣の転換期が迫っている中、リバプールがプレミアリーグでも、イングランド代表でも実績のある25歳のディフェンダーに注目するのは理にかなっている。
一方のトッテナムは、クリスティアン・ロメロとミッキー・ファン・デ・フェンのコンビが機能している現状を考慮すれば、センターバック補強の優先度はそれほど高くない。ラドゥ・ドラグシンやケビン・ダンソといった選択肢も揃っており、4000万ポンドを超える巨額投資に踏み切る必然性は薄い。
ただし、スパーズはエベレチ・エゼ獲得に5500万ポンドを投じる予定のトッテナムにとって、さらなる大型補強は財政的な負担となりかねない。マンチェスター・シティからサビーニョ獲得も目指している懐事情を考慮すれば、パレスの思惑通りに事が進むかは不透明。
リバプールがグエイ獲得に乗り出しているのは事実で、パレス側の要求が下がらなければ来夏にもフリートランスファーでの獲得に方針を変更する可能性もあるが、はたして…?
