2023年の夏、RBライプツィヒから加入したハンガリー代表MFドミニク・ソボスライは、かつてのレジェンドであるスティーブン・ジェラードとも重ねられるほどのミドルシュートを武器に、攻撃的ミッドフィルダーとしてクロップ政権とアルネ・スロット体制でも中心的な役割を担っている。
スタミナが低下してきたエジプト代表FWモハメド・サラーの守備負担を軽減するため、昨シーズンはピッチに全体を走り回った。その上で、攻撃にも顔を出し、チャンスを作りつつも自らゴールを決め、プレミアリーグ制覇に貢献した。
フロリアン・ヴィルツら大型補強を実施した今シーズンは、新戦力はまだまだフィットせず、ソボスライの存在感は日に日に目立っている。プレミアリーグで5敗を喫しているクラブにおいて、右サイドバックとして起用されるなど様々なポジションをカバーしつつ、継続的に好パフォーマンスを披露している。
移籍市場の動向に精通するファブリツィオ・ロマーノ氏によれんば、リバプールはスロット政権に欠かせない “鉄人” ソボスライとの新たな長期契約に向けた正式な交渉を開始する準備を整えているようだ。
現在の契約は2028年まで残っているにもかかわらず、クラブがこれほど早い段階で契約の見直しに動くのは、極めて異例の事態。とはいえ、昨季のトレント・アレクサンダー=アーノルド、今季のイブラヒマ・コナテのように契約最終年の交渉は難航を極めることもあり、防衛策とも言える。
さらにアルネ・スロット監督が目指すハイテンポで支配的なサッカーの未来の設計図を描く上で、最も重要な核となる選手であるという、クラブの明確な意思表示に他ならない。右足から放たれる弾丸のようなシュート、そしてピッチを縦横無尽に駆け巡るその姿は、リバプールの新しい時代を力強く象徴している。
ソボスライの貢献は、ゴールやアシストといった表面的な数字に収まらない。彼の真価は、ピッチ全体を覆い尽くすような圧倒的な運動量と、常に前を向く爆発的な推進力、そして試合の流れを一変させる創造性の融合にある。
守備面でも、彼は一切の妥協を許さない。平均して90分あたり1.60本のキーパスを供給しながら、中盤の選手として求められるデュエル勝利数やタックル成功率でも高い水準を維持している。パス成功率はアタッキングゾーンで87%という高精度を誇り、これは彼がリスクを冒しながらも、正確性を失わない稀有な存在であることを証明している。
ボールを奪うための激しいプレッシングから、一瞬で攻撃の起点となり、フィニッシュにまで絡む。この献身的なプレースタイルこそが、連敗が続いていたリバプールの中盤に欠けていた強度とダイナミズムを注入し続けている。
いずれにしても、リバプールがハンガリー代表のミッドフィルダーに新たな契約を提示するのは当たり前の行動であり、アレクサンダー=アーノルドやコナテのようにシーズン終盤まで去就がわからない状況を避けるためにも、早め早めに動き出すのもまた自然の摂理。
はたして、リバプールは2028年までの契約を延長し、長期的にアンフィールドに留めることができるのだろうか…?
