欧州フットボールの頂点を争うクラブ間の駆け引きは、冬の移籍市場を前にして、すでに来夏の移籍マーケットを見据えた動きを見せ始めている。アルネ・スロット監督のもとで覚醒したオランダ代表MFライアン・フラーフェンベルフにも噂が出始めた。
スペインの移籍情報サイト『Fichajes』によると、リバプールの中盤を支える若きオランダ人MFを巡って、ハンジ・フリック監督率いるバルセロナが関心を示しており、アンフィールドに緊張感をもたらしているようだ。
リバプール加入から2シーズン目に、フラーフェンベルフはプレミアリーグの激しい環境下で、そのポテンシャルを爆発的に開花。フィジカル、テクニック、そして戦術眼が高度に融合した、現代フットボールが渇望する理想的なミッドフィールダー像を体現している。
バルセロナは、財政的な制約に苦しみながらも、来夏における最優先ターゲットと位置づけている。これは、フラーフェンベルフの推進力と、フリック監督が求める “即時奪回と縦への速さ” という戦術的DNAが、いかに強く結びついているかを明確に示している。
バルセロナの中盤は、シャビ、イニエスタ、ブスケツといった技巧派の司令塔によって築かれてきた。パスとポジショニングで試合を支配したが、フリック監督がバイエルンやドイツ代表で成功を収めた戦術は、よりアグレッシブなプレッシングと、ボール奪取後の素早い縦への展開を基軸とする。フラーフェンベルフのプレースタイルは、このフリックの要求に完璧に応える。
2025/2026シーズン序盤戦の統計では、彼のプログレッシブ・キャリーは、欧州五大リーグのミッドフィールダーの中で常にトップクラスを維持。ボールを持つと、躊躇なく相手のプレスラインを突破し、攻撃のスイッチを入れる。
特に、その長い手足と優れたバランス感覚を活かしたドリブルは、相手のファウルを誘発し、セットプレーの機会を創出する戦術的な武器として機能する。彼のドリブル成功率は、攻撃的ミッドフィールダーに匹敵する高水準を誇り、中盤の選手としては破格の数字だ。
しかし、リバプールがこの若き至宝を簡単に手放すことは、クラブの未来を自ら放棄する行為に等しい。ドミニク・ソボスライ、アレクシス・マック・アリスター、そしてフラーフェンベルフといったタレントを中心に中盤を再構築し、昨季はプレミアリーグ優勝を成し遂げた。
フラーフェンベルフの契約はまだ数年残っており、リバプール側に彼を売却する財政的な必要性は一切ない。また、リバプールは契約更新に向けた話し合いを進めているとの報道も出ており、スペイン行きは非現実的。
例えバルセロナが主力を売却し、高額な移籍金をオファーしたとしても、その穴を埋めるために複数の選手を獲得する手間やリスクを考えれば、そのオファーは魅力的に映らないだろう。
いずれにしても、リバプールがオランダ代表MFを放出するのは想像つかず、あくまで面白い記事として楽しみたい。
