晩秋の風が吹き抜けるマージーサイドで、リバプールサポーターの心を熱くする一つの噂が、欧州のサッカーシーンを駆け巡っている。その中心にいるのは、オランダの名門フェイエノールトで躍動する19歳の若き才能、ジヴァイロ・リード。
彼の名を、リバプールが獲得リストの最上位に記しているというのだ。エールディヴィジの舞台で彼が放つ輝きは、もはや単なる原石のそれではない。完成された宝石のようなプレーの数々が、ビッグクラブのスカウトたちを虜にしている。
この情報は英『TEAMtalk』が報じたもので、リバプールがリードの動向を熱心に追いかけているプレミアリーグのクラブの一つだと伝えている。しかし、その獲得レースは平坦な道のりではない。
ドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンはすでに具体的な交渉の席に着いたとされ、スペインの巨人バルセロナや、同じプレミアリーグのライバルであるマンチェスター・シティ、アーセナルも虎視眈々とその才能を狙っている。欧州のエリートたちが繰り広げる、壮絶な争奪戦の火蓋は切られた。
リバプールにおいて、右サイドバックは特別な意味を持つポジションだ。長年にわたり、トレント・アレクサンダー＝アーノルドがその驚異的なパス能力と戦術眼で、チームの攻撃を司ってきた。リードのプレーを詳細に分析すると、彼がアレクサンダー＝アーノルドとは異なる質の、しかし同様に破壊的な影響力をチームにもたらす可能性が見えてくる。
リードの真骨頂は、その爆発的なスピードと、ゴールに直結する攻撃参加にある。身長175cmと決して大柄ではないが、強靭なフィジカルとアジリティを併せ持ち、そのプレースタイルはプレミアリーグで活躍するカイル・ウォーカーやリース・ジェームズを彷彿とさせる。一度ボールを持てば、瞬く間にトップスピードに乗り、敵陣を切り裂いていく姿は圧巻。
彼のプレーは、リバプールの新たな攻撃パターンを生み出す起爆剤となり得る。特に、現リバプール監督でアルネ・スロット監督がフェイエノールト時代に彼を指導し、その能力を誰よりも深く理解している点は、移籍実現に向けた最大の追い風となる。
攻撃的な才能にスポットライトが当たりがちだが、リードの価値はそれだけにとどまらない。守備能力、特に戦術的なインテリジェンスと1対1の強さは、19歳という年齢を考えれば驚異的なレベルにある。無尽蔵のスタミナと驚異的なリカバリー能力も兼ね備える。
今年の夏、契約満了に伴いレアル・マドリード行きを決断したイングランド代表DFの後釜として、北アイルランド代表DFコナー・ブラッドリーの出番が増え、バイエル・レバークーゼンからはオランダ代表DFジェレミー・フリンポンを迎え入れた。
ところが、どちらも完全にハマっているとは言い難い。先日のレアル・マドリード戦では好パフォーマンスを披露したブラッドリーだが、不安定な試合も多く、怪我の多さも懸念材料。フリンポンも期待されていたプレーをまだ見せられておらず、頻繁に離脱を繰り返している。
とはいえ、枚数自体は揃っており、右サイドバックが喫緊の課題になることはない。ブラッドリーの成長やフリンポンの適応を待つのが現実的な路線で、元教え子といえどもフェイエノールトから19歳の才能を迎え入れるとは思えない。
しばらくの間、アンフィールドの絶対的な右サイドバックとして君臨したアレクサンダー＝アーノルドに代わって、先発の座を射止めるのは誰になるのだろうか…？