アンフィールドに新たな時代が到来し、アルネ・スロット監督の下、リバプールは大規模な変革期を迎えている。今夏にはフロリアン・ヴィルツやアレクサンデル・イサク、ウーゴ・エキティケら大型補強に着手した。
まだまだアルネ・スロット監督が好みのチームに染まっているとは言い切れず、ヴィルツやジェレミー・フリンポンらもプレミアリーグの洗礼を受けている。ニューカッスルから移籍したイサクはコンディションが戻り切らず、最近まで4連敗を喫していた。
最終ラインの世代交代が喫緊の課題ともなっているリバプールだが、その視線は中盤にも注がれている。スペイン紙『Fichajes』によれば、さらなる大型補強を検討しており、パリ・サンジェルマンのポルトガル代表MFヴィティーニャ獲得に関心を示しているようだ。
そして、驚きなのが来年1月の移籍市場で最大9000万ユーロという巨額のオファーを準備しているということ。今夏に多額の予算を費やしており、現実味のない移籍話だが、昨夏のチャンピオンズリーグを制覇したミッドフィルダーの加入は大きなプラスになる。
前任のユルゲン・クロップ監督の「ゲーゲンプレス」から、スロット監督の志向する「ポゼッションを基盤としたハイプレス」へと戦術の軸が移行する中、ヴィティーニャのプレースタイルは、この新体制の心臓部となる可能性を秘めている。
最大の魅力は、その卓越した技術的精度と、スロット監督のシステムに不可欠な戦術的規律を高い次元で両立させている点。攻撃的な貢献度は、2025/2026シーズンのリーグ・アンでのスタッツに鮮明に表れている。
わずか10試合の出場で1ゴール4アシストを記録。これは、彼が中盤の深い位置からだけでなく、フィニッシュエリアに近い場所でも決定的な仕事ができることを裏付けている。彼のパスレンジの広さと精度は、スロット監督が求めるボールを保持しながら相手を崩す “ポゼッションサッカー” において、攻撃のテンポと方向性を決定づける “潤滑油” になり得る。
中盤の選手に高いボール保持能力と、ポジションチェンジを厭わない柔軟性が要求される環境で、ヴィティーニャはプレッシャー下でのボールコントロールに優れ、狭いスペースでのターンやドリブルで相手のプレスを無力化できる。中軸に据えているオランダ代表MFライアン・フラーフェンベルフにも通ずる能力だ。
さらに、彼の守備意識の高さと運動量は、スロット監督のハイプレス戦術においても極めて重要。ボールロスト後の即時奪回において、常に高い位置で相手に圧力をかけ続けることができる。スロット監督のプレースタイルを実現するために適した人材と言える。
ただし、9000万ユーロの移籍金はあまり高額。その金額はモハメド・サラーの後継者に投じるべきで、比較的枚数の揃っている中盤に費やすべきではない。また、フィルジル・ファンダイクの後任も必要不可欠で、そこに配分するのが理想的だ。
リバプールがミッドフィルダーを優先するとは思えないが、予想に反して、パリ・サンジェルマンからマージーサイドに移籍する未来はあるのだろうか…?
